第110声 ページ14
キィンッ
主『はぁ、し、つこいっ!』
ハ「だ、ったら、死ねよ!」
雨の所為で服が体に張りついて重い。
視界が遮られて、お互いが何度か攻撃を喰らっている。
主『…あーウザいなぁ…』
雨のお蔭で表情が隠れる…
ハ「…抵抗は止めたんですか?」
主『≪拘束!捕獲!捕縛!≫』
地面に流れていた喰種の血が細い糸となって、ハイルを拘束する。
数秒の時間稼ぎが出来れば十分。
ハ「こんな物で…!?」
主≪私が殺す。私が生かす。私が傷つけ私が癒す。
我が手を逃れうる者は一人もいない。
我が目の届かぬ者は一人もいない。
打ち砕かれよ。≫
ハイルを拘束していた糸が連なり合い、網目状に広がっていく。
これ以上の時間のロスは出来ない…
主≪敗れた者、老いた者を私が招く。
私に委ね、私に学び、私に従え。
休息を。唄を忘れず、祈りを忘れず、私を忘れず、
私は軽く、あらゆる重みを忘れさせる。
装うなかれ。≫
言葉を重ねる事にハイルは苦悶の表情を浮かべている。
周りのタケさんや捜査官達が動揺しているのが分かる…
ハ「…ぃ、ぐぁ…」
主≪許しには報復を、信頼には裏切りを、希望には絶望を、
光あるものには闇を、生あるものには暗い死を。
休息は私の手に。貴方の罪に油を注ぎ印を記そう。
永遠の命は、死の中でこそ与えられる。≫
目の前で伊丙捜査官が締め上げられているのを誰もが只見ていた…
主≪許しはここに。受肉した私が誓う≫
ミシッ
ハ「…か、はっ…」
主≪この魂に憐れみを≫
ボキンッ
ハ「〜〜〜〜ッツ!!!???」
この場にいる捜査官は雨の降り注ぐ中でも大きく鳴り響いた音に呆然とした。
まさか、有り得ないと誰もが自分の目を疑ったが、
声無き悲鳴を上げて倒れた伊丙捜査官を見て皆、顔を青くした。
彼女は喰種の血で作られた網で締め上げられ、全身の骨を折られた…
主『どう?まだ戦える?』
ハ「ぁ…こ、の…くそ、がぁ…こ、ろす」
主『その執念には天晴だけど、お前は此処でリタイアだ』
ハ「…ざ、けん…な」
主『恨むなら、人間の自分を恨め。喰種ならまだ戦えたのにね、ご愁傷様』
ハ「っ!!??」
全身の過半数の骨を折って激痛の筈なのに、ハイルは体を動かそうとしている。
けど、人間である限り彼女が動く事はない…
ハイルを無視して後ろを振り向く…
主『次の相手は誰?』
続
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黒狐の信乃(プロフ) - 早く更新しないかなと楽しみにしえおられます。何回も読んでます。更新頑張って下さい! (2018年10月7日 17時) (レス) id: 643fb61272 (このIDを非表示/違反報告)
sayakafujino30(プロフ) - とても面白かったです!これからも頑張ってください。応援しています。更新待ってます!!! (2017年7月8日 23時) (レス) id: 2eaecf79b9 (このIDを非表示/違反報告)
呉羽 - とても面白いです!更新楽しみにしているので、頑張ってください!!! (2016年8月3日 17時) (レス) id: 749928d283 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ - とても面白いです!更新頑張ってください!応援してます! (2016年6月14日 0時) (レス) id: f74a91c541 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - とても面白いです!!更新頑張ってください!! (2016年6月12日 22時) (レス) id: f74a91c541 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:銀月 | 作成日時:2016年5月2日 17時