-初恋は､１０年の時を越えて-one

面影 ページ7

サッカー塔という､とてつもなく大きな建物に連れてこられた私｡


話は淡々と進んでいき､いつの間にかマネージャーとなっていた私は､ベンチに腰をかけていた｡


勿論回りからは､質問の嵐であって…

倉間､浜野､速水以外の人達には､誰にも会った事が無くて…


神童:｢名前は？｣

貴女:｢(人1)A…｣

松風:｢先輩！サッカーが好きなんですか？ 俺は大好きです！！｣

貴女:｢…そう｣


本当に騒がしい…


ていうか変な人多いし…｡
まぁ､皆から見たら私も変なんだろうな…｡


頭には深く被った帽子｡
左手首には､リストバント｡
極力無口で､愛想が悪い｡
イジメの対照｡


貴女:｢…私のこと…､何とも思わないの？｣

皆:｢え…？｣

貴女:｢変だし無口で愛想も悪いし…､気味が悪いとか､変な奴だ｡ …そう思わないの？｣


１０年前､“典人”と別れた私は

あの日を境に変わった｡


あの人によって､心も体も汚されたから…

だから､自分は汚ない人間なんだ｡


こんな私と関わったら､皆も汚れちゃう｡


そう思っていたのに…


倉間:｢そんなの､関係ねぇよ｡｣

貴女:｢…えっ｣

倉間:｢お前はお前｡ ただそれだけだろ？｣


そう言った倉間は､やんちゃな笑顔でニヒッと笑って､私の頭を撫でた｡


貴女:｢！！｣


その姿には､とても懐かしい親近感があった｡


優しく､強く微笑みかけてくれる笑顔…

どんな時でも守ってくれる､温かい手…


貴女:｢…の､り…ひ……､と…？｣

倉間:｢え…｣


ハッと私は我に返る｡


貴女:｢違うっ､ゴメン！ゴメンっ！！｣


いくら似てたからって､倉間を“典人”と間違えるなんて…！！


…違う､“典人”じゃない｡


貴女:｢倉間は違う｡ …あんたじゃない｡｣

浜野:｢A？どうした…？｣

貴女:｢倉間は､あの子じゃない｡ あの子は､倉間みたいに生意気じゃないし､目も隠れてなかった！｣

倉間:｢なっ！？ てめぇ､勝手に誰かと間違えといて､何だよその言い方！！｣


ズカズカと地面を鳴らしながら､私に近付く倉間を２年の皆が押さえる｡


｢離せっ！｣と暴れる倉間｡


やっぱり違う｡

“典人”は､こんなにおっかなくないし｡

懐かしい夢→←勧誘(倉間side)

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