5両目、出発進行。 ページ5
「……ツッキー、思ったより袋多いね…」
「持ち帰る時のこと考えて欲しいよね、皆袋大きすぎ」
少し苛立った様子で三袋に詰め込まれたお菓子を手にかけるツッキー。
俺は、谷地さんの残りのフォンダンショコラと、あとおこぼれで貰った数個のお菓子だったから、そのままリュックに詰められたけど。
「あ、谷地さんのは別にしてあるんだね」
「谷地さんのは特別でしょ、日向とかでもそんくらいはしてるよ」
まぁ、大事なマネージャーから貰ったものだし。
ちゃんと感想も言いたいし、形も崩したくないし、そりゃそうか。
……でも、ツッキーがちゃんとそういう心を持ってて良かった…!
「山口、今失礼なこと考えたでしょ」
「そ、そんなことは……」
部室に着けば、田中さんが険しい顔で仁王立ちをしていた。
「ち、ちわす」
「……俺は怒っている」
た、田中さん……?
鋭い目付きでツッキーと俺を睨む田中さん。どちらかと言うとツッキーの比重が大きい気がするけど。
「先輩、僻みは良くないですよ」
「お前!月島!おのれぇええ!!」
ツッキーに飛びかかろうとした田中さんを縁下さんが抑え込む。あ、強い。
「ハイハイ、もう良いだろ、お前何回目だこのくだり」
「日向は義理だから許した!影山は本人が馬鹿だから許した!けど!月島は絶対に本命あるって分かってるから腹立つ!!」
「あー…やっぱりそういう感じの……」
ごめんな、と俺達に謝る縁下さん。
でも。皆結構な量貰ってるよな。
部室を見回せば、所々に袋が密集しているところがある。……日向と、影山と、西谷さんと、あ、縁下さんも割とある。
「大丈夫だ、男子よりも、友チョコで交換し合った女子の方が持ってる数は多かったりするから」
「木下…悲しくならない?俺は割と悲しいよ…」
「そうでもしねぇとやってけねぇだろ!!」
木下さんと成田さんが二人で言い合ってるのを見て、密かに心を慰める。
ウン、女子同士の方が凄まじいもんな、バレンタインって女子同士のイベントだもんな、そうだよな。
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nana(プロフ) - まとめ方がとても上手くて尊敬します! (2020年2月26日 14時) (レス) id: 8b7e89d888 (このIDを非表示/違反報告)
うどん - 山口君の小説有難うございます!とても面白かったです! (2020年2月20日 20時) (レス) id: 8f3ce9713a (このIDを非表示/違反報告)
ゆうかな - とっても面白かったです!やっと山口が報われるのを見つけた! (2020年2月19日 15時) (レス) id: 84f41cfd95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あだしの。 | 作成日時:2020年2月13日 20時