顔が良いって"損"【青葉城西】

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「……はぁ」



お昼休み、小さくため息をついた

今日は、司書室が開いていない
橘さんがお休みだからだ

いつもなら、橘さんと仕事をしながら食べているのだが、
今日はそれが出来ない



「屋上……」



屋上は開いていなくても、屋上に続く階段で食べればいい

そう思い、お弁当を手に席を立った

屋上へ向かう途中、俯いて走ってきた女の子とぶつかって、
反射的に顔を見れば、その目は赤く腫れていて

謝罪もなしに走り出したその背中を見つめて思った



「恋しても、こういう結末になるなら……」



そんなの、悲しすぎる

昨日の父の言葉を頭の中で繰り返しては、
自分の中で腑に落ちる部分と、落ちない部分とが入り交じる



「あれ、どうしたの？屋上開いてないよ」



いつの間にか階段に着いていたみたいで、
何故かいた先客に声を掛けられる



「……あ」



顔をあげれば、その人と目が合って、
その人は小さく声を漏らした

最悪だ、今日は厄日だ



「そうですか、ありがとうございます」



そう言って、来た道を戻ろうと思えば、
待って、と声を掛けられる

無視するか、しないかを迷っていれば、
その人はすぐ側まで来ていて、



「昨日ぶりだね、Aちゃん」



なんて親しげに話しかけてくる男



「どこかでお会いしましたっけ？」



やめてくれ、私に関わらないでくれよ、





＿＿＿及川徹

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