第七十九訓「最近のは色々機能つきすぎ」 ページ29
｢伊東鴨太郎君の帰陣を祝してかんぱーい！！｣
伊東鴨太郎、真選組の参謀に属する人物。
普段は屯所には殆ど居ないが時折帰ってきては新しい武器や手土産を持ってくるらしい。
｢いや〜伊東先生…今回は本当に御苦労でした。しかしあれだけの武器…よくもあの幕府のケチ共が財布のヒモを解いてくれましたな〜｣
｢近藤さん、ケチとは別の見方をすれば利に聡いという事だ。ならば僕らへの出資によって生まれる幕府の利を説いてやればいいだけの事。最も近藤さんの言う通り地上で這いつくばって生きている我々の苦しみなど意にも介さぬ頑冥な連中だ｣
｢アハッアハハハハ！違いない！違いないよ！ガンメイだよね〜アイツらホントガンメイ〜｣
｢近藤さん、頑冥って何ですか｣
｢うるさいよお前は！子供はだまってなさい！｣
少し酒が回ってきた伊東の高説が始まり、いつの間にか立ち上がっていた。
近藤さんも話の内容は分かっていないようだが、頭の良い伊東を一目置いているようで、頷いている。
しかしそんな優秀な伊東を気に食わない隊士も中には居るようで、場の空気はシンとしていた。
そして土方もまた、伊東とは合わないタイプらしく、宴会の場には居なかった。
｢伊東さん、外回りが多くて屯所で会う機会もほとんどなかったから表面化しなかったがそろそろ来るかもな｣
｢何が？｣
｢俺、伊東さんと土方さんが仕事以外でしゃべってんの見たことねーんだ｣
伊東が宴会の席を立ち外に出た。
向かいの縁側から真っ直ぐこちらに歩いてくる土方。
ふとすれ違った所で両者が足を止めた。
｢土方君、君にききたい事があった｣
｢奇遇だな、俺もだ｣
｢｢君／お前は僕／俺のこと嫌いだろう｣｣
｢近藤さんに気に入られ新参者でありながら君の地位を脅かすまでにスピード出世する僕が目障りで仕方ないんだろ｣
｢それはアンタだ。さっさと出世したいのに上にいつまでもどっかり座ってる俺が目障りで仕方あるめーよ｣
｢フッ…邪推だ土方君、僕はそんな事考えちゃいない｣
｢良かったな、お互い誤解が解けたらしい｣
｢目障りなんて｣
｢そんなかわいいもんじゃないさ｣
｢｢いずれ殺してやるよ｣｣
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作者名：憐
| 作成日時：2014年3月12日 2時
