【BL】勘違いと百八の煩悩【銀土】 (ページ10)

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煩悩九ページ10

翌晩。雪は昨日からやんでいない。しんしんと白く世界を染め上げている。
そんな中、カン、カンと階段を登る音。
俺、土方十四郎は今日初めて処刑宣告を待つ罪人の気持ちが分かった気がする。
ーー万事屋銀ちゃん。スナックお登勢というバーの二階。
もうここをプライベートとして登ることは無いだろうと一歩ずつ、二階への階段をその音を聞くように踏みしめる。登り終わって扉の前に行き、その取っ手に右手をかけた。

「……はァ」

長い長い俺達の道。いや、俺の道と言うべきか。惚れていたのは俺だけだったのだから。
そうだ、この扉の奥にはあの冷たい目が待ってるかもしれない。
でもきっとそれは無いだろうと思う。
きっと、アイツは優しいから。
ーーガラリ

「あーはいはい、こんな朝っぱらから誰ですーー
って土方！？」

その瞳は予想と違わず、一瞬俺の姿を見て少し見開いただけで、通常に戻ってもあの冷えた目には戻らなかった。でも今度はその瞳からは何も読み取れない。いつも通りと言えばいつも通りだ。

「……おう、少しいいか。話がある」
「え、ああ……ウン」

きっと、こうやって面と向かって話すのも最後だろう。