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分かれる ページ10

しばらく歩くと森が開けて、豪邸が見えてきた。

「雰囲気が変わったわね…。」

「楽園にいくつかのエリアがあるのかもな。にしても立派な家だなぁ。」

黒の屋根で、縁は金。

近づくと、その大きさに俺たちが後ずさりしてしまうほどだ。

「入ってみるか?」

「え…。」

は?

「なんでだよ!他何もないだろ!?」

「だって…人様のお家でしょう?そんな、無許可に入るなんて…。」

まぁ、さすがってとこか。

「うるせぇよ。そもそもここに立ち入った時点であいつらにとっては無断侵入なんだから、今更だろ。」

扉を開けると、Aは遠慮がちに着いてきた。

「お邪魔、します…。」

礼儀正しすぎだろ。

「うふふ、お待ちしていたわ。」

左端の階段から、女が降りてきた。

背が低いな…ヒユリよりは年下か?

グレーの髪で、目は赤。

そいつの周りには、グレーの蝶が飛んでいる。

「素敵な服ね。」

Aが警戒しながらも声をかける。

「わたしはレイダーテ。ヒユリから聞いているわ。」

スカートの裾を持ち上げて貴族のような礼をした。

「俺はエリス、そいつはA。お前も守り人か?」

「その通り。ここを通りたければ、わたしと遊んで頂戴?」

…子どもか。

「いいわ、何して遊ぶ?」

ちょ、お前…!

「簡単な迷路よ。晴れてここのお屋敷を出られればここは通してあげる。」

「へぇ、いいわよ。」

レイダーテ、っていうやつは術式を唱え始めた。

なぜか目の前が歪んで…めまいが…。

「……?」

狭い、どこだここ…?

「エリス!どこ!?」

A…!

「俺はここだ!お前こそどこにいるんだ!」

「わからない。けど、分かれてしまったのは確かなようね。仕方ないわ、出口で無事に会えるのを楽しみにしているわ!私は、もう行くわね。」

っ…。

簡単な迷路、か…。

苦手、なんだよな…。

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作者名:円香 | 作成日時:2018年8月7日 16時

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