迷う ページ11
暗いわ…。
入り口から続くカーペット特有の足音はそのままだから、お屋敷の中というのは間違いなさそう…。
右手を壁に当てて進んでいくと目の前に見えてきたのは小さなテーブル。
「何、これ…?」
小さな人形が向かい合っていて、どちらもトランプを持っている。
ババ抜き…?
「2人ともテーブルのところに着いた?」
どこからともなくレイダーテの声が聞こえる。
2人とも…?
じゃあエリスも…?
「エリス!!」
返事がないわ…。
スタート地点より壁が厚いのかしら。
「これからここにあるトランプを使ってババ抜きをしてもらうわね。それで…1回のゲーム2人とも勝てたら、通してあげるわ。」
え…?
「そんなことできるわけないじゃない…!」
するとレイダーテが私の言葉に反応する。
「確かに、ちょっと難しいかもしれないわね…。じゃあ、特別に、Aとエリス、話せるようにしてあげるわ。ただし、ルールがあるわ。」
ルール?
「自ら自滅する行為だけはやめて。例えば…ジョーカーの位置を教えるとか。ふふ、それじゃあ検討を祈るわね!」
そこで声が途切れた。
けど、すぐにエリスの声が飛んできた。
「A…どうする?」
カードの数は私が5枚、エリスが7枚。
ジョーカーは…エリスね。
「先に引いて。とりあえず、ジョーカーと、あと1組になるまで数を減らしましょう。」
「…わかった。」
その声と同時に私側ではない人形が動いて、私側の人形のカードを取った。
ペアになったカードは消えていった。
なるほど…。
この人形は私とエリスなのね。
しばらくカードを抜いていって、私があと1枚、エリスがあと2枚という形になった。
私は…クラブのA。
「あいつ、2人とも勝てば通すって言ってたな。でも、これじゃあ無理だぜ…?」
そうよ、分かってるのよ…。
「どうしたらいいの…?」
考えて、考えるの…。
きっと突破口が見つかるわ…。
分からない…。
「おい、A、大丈夫か?」
「大丈夫よ…。エリスも、何か考えてる?」
「…悪い。」
何、考えてなかったの…!?
全く…。
いえ、そんな場合じゃないの。
このゲームをクリアする方法は…!!
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:円香 | 作成日時:2018年8月7日 16時