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紫「もー、どこに隠れてるん」
ふんわりした声が聞こえる。
そして平野先輩が教室を循環し始めたのが足音でわかった。
廉「...成瀬」
「しーっ!」
可愛いよ。可愛いけど!
この状況を早く説明してくれ!
紫「Aー?」
声がだんだん近づいてきた。
このままだと確実にばれてしまう。
もう一度彼女に対応策を尋ねようとした瞬間、彼女が急に立ち上がる。
「紫耀くん!」
紫「うわっ!そんな所におったんか」
「うん。上手でしょ隠れるの!」
紫「あはは、ほんまに上手。わからんかった。」
もう彼女の姿は見えないし2人の声だけしか聞こえない。
それよりなにより俺はどうすればいいのだろうか。
「うん、じゃあ。帰ろう。」
紫「駅前のクレープでも寄ってく?好きやろあれ。」
「うん!行きたい!やったあ」
本当にどうしよう。
どうやら彼女は平野先輩と帰っていくらしい。
いや、別に俺と帰る約束なんてしてなければ俺とは偶々会っただけだし。
だけど!何?俺どうすればいいの!
「あ、ちょっと待って。」
何かを思い出すように彼女の足音が聴こえる。
そう、そうだよ。俺の事忘れてるやろ!
だけど彼女の足音が俺に近づく事はなかった。
「携帯。忘れてた」
紫「ほんまにうっかりさんやな」
そして2人は教室を出ていった。
俺は自身の手に握られた携帯をじっと眺めていた。
廉「うっかりさん!!!」
携帯を忘れたのは俺や!
何だ。何だったんだ一体!
俺は彼女の手の平で遊ばされていただけなのか!?
そうは思いたくなかった。
意地でも、そうは思いたくない。
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作者名:ふる | 作者ホームページ:http://twitter.com/ei_njo
作成日時:2017年10月7日 15時