君と、恋の話がしたい。 (ページ7)

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4階まで階段を駆け上がった。
部活終わりのこの長蛇な階段は中々脚にくる。
確か、机の中に入れっぱなしにしてたはず。
俺は足早に教室に向かった。
すると、どうだろう。
想定外な出来事があった。
どうしよう。
初めは、黙って教室に入って携帯を取ってすぐに帰宅する事を考えた。
だけど次の瞬間、俺の動揺から肩を強く教室の扉にぶつけてしまい、直ぐに気づかれた。

「......永瀬くん？」

そこに彼女がいたのだ。
それよりなにより、彼女が俺の名前を呼んだ。
俺の事を知ってる事なんてクラスメイトとして当たり前なのかとしれないけれど彼女だから。
彼女だから、妙に胸が高鳴った。

「どうしたの？」

廉「.....あ、いや、携帯、忘れて」

どうもかっこはつかなかった。
いつも陰から見ていた彼女と今日初めて話す。
嬉しい気持ちの反面、俺はすごく焦った。
こんな形が彼女との最初になるなんて思いもしなかったから。

「そっかあ。永瀬君の席、あ。こっちか」

いつものように可愛らしくちょこまか動く。
そして俺の机に辿り着いて机の中を覗く。
彼女の手に包まれた物は確かに俺の携帯だ。

「あったよ、はい。」

廉「.....ありがと」

彼女と手が触れ合って俺は更に焦った。
どうしてだ、普通に会話をすればいいものを。他の女子とならこんな風にならないはずだ。
だけど彼女に対しては変に緊張して言葉が詰まる。
やっとの思いで俺は言葉を絞り出した。

廉「成瀬、何してん？」

なるべく平静を保って。
彼女に俺の下心が気づかれぬように訊いた。

「んー、人待ち？」

彼女は俺の机に腰をかけて足をぶらぶらしながら答えた。
叫びたくなるほど可愛い彼女を紛れもなく俺が独り占め状態だった。

廉「誰を？」

「んー誰でしょう。」

くっそ！可愛い！
拗らしてきても可愛い！
それにしても成瀬、普通に会話してくれるやん！
それに、俺の座席やって知っていた。
.....もしかして。

そんな勝手な思い上がりも直ぐに打ちのめされることになる。

「...あ！」

彼女は俺の手を引いて、教卓の下に俺を押し込み彼女もそこに入ってきた。
なんだ、なんなんだこれ！

廉「...成瀬」

「しーっ！」

彼女が人差し指を立てて口元に添える。
距離が近い上、可愛すぎて理性が飛ばされそうになった。

紫「Aー？」

その声が聞こえた瞬間俺はまた一気にどん底へ落ちた。
彼女が待っていたのは平野先輩だった。