次世代天才少女～揺らぐ信念、受け継ぐ思い～ (ページ12)

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10話ページ12

久遠｢今度の休日に練習試合が決まった。
相手は栄都学園だ。｣

次の日、部室では監督より練習試合が決まったことが報告された。

入部の決まった1年はまだ部室に姿を現してはいない。

神童｢.......今日俺の元にも通知が届きました。｣

神童の手には1枚の封筒。
その神童の顔つきと言葉でフィフスセクターからの通知だと分かる。

A｢ちなみに今回の結果は.......｣

神童｢0-3で雷門の負けだ｣

フィフスセクターは公式大会だけではなく、ただの練習試合までも介入してくる場合がある。
しかし指示がない場合は自分たちの実力のぶつかり合い、すなわち自由なサッカーができるが、その期待は神童の手元の封筒で打ち砕かれてしまう。

霧野｢ちなみに今回の試合はA出るんですか？｣

久遠｢新入生が入ったことで人数は足りる｣

つまりAの出番はないということ。

天馬｢おはようございます！！｣

しんみりとした部室に天馬を含む1年生が元気よく姿を現した。

そこで練習試合が組まれた事が伝えられ、尚且つ人数も足りないということで自分たちも出場する事にやる気を出す天馬と西園。

A｢.......その封筒の事は言わなくていいの？｣

神童｢黙っていろ、当日になれば嫌でもわかる。｣

キャプテンである神童にそう言われちゃ、勝手なことは出来ないな.......。

その日からサッカー部の練習以外でもやる気が満ち溢れる1年生。

休み時間になれば決まって教室の窓から見える屋外グラウンドの隅でボールを蹴りあっているのが見えた。

A｢今回も指示通りに試合するんだよね？｣

神童｢当たり前だ、それしか俺達には進む道がないんだ｣

霧野｢.......こればかりはなぁ.......。｣

管理サッカーが正式に導入されたのは今の3年生が入部してから。

それからというものサッカー界は盛り上がりが落ちた。
しかしそれは選手として見た場合の話、管理サッカーが行われていることなんて関係者以外は知らないのだから。

Aは思い出していた10年前の世界大会を。

Aの姉である真綾が決勝は出場できなかったが、その過程である試合の数々。
選手一丸となり全力でぶつかり合い、そして互いに限界を超えて強くなる姿を。

A(.......あんな試合がやりたい)

まぁ、今のサッカー界では到底難しいだろう。
そもそも大きな問題が1つあるのだけれど。