No.037 怒る理由 ページ37
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Aが誰を殺そうが、A自身が傷つけられていないのならどうだっていいが、どこの誰だか知らない奴の血でAの服や顔が汚れているのも、合わない義足で歩かせて大変な思いをさせるのも、俺は許せなかった
「お前、なんで殺した？」
「やっぱり怒ってる？」
「怒ってねえよ。理由聞いてるだけだ。Aが何も無いのに殺すわけねえからな。あいつになんか嫌なことされたんだろ？」
「まあ」
「何された？」
「んー、まず助けてくれって言われた」
「ああ、お前なら優しそうに見えたのかもな」
「手錠外してくれって頼まれた」
「身の程知らずのバカだな」
「それで、嫌だって言ったら、足にすがりつかれた」
「は？汚い手でAに触れたのか？」
「義足のほうだったけど」
「関係ないな。どっちであろうともAの大事な足だ」
「気持ち悪かったよ」
「どこまで触られたんだ？」
「うーん……義足との境目くらいまでだったかな」
「死刑だ」
「もう執行しちゃったよ」
「問題ない。Aが殺さなくても俺が殺してた」
「ならよかった」
「いまも許せないからぶち殺したい」
「えー、もう殺せないよ」
「残念だな」
「残しとけばよかった？」
「いいや。それで？」
「それで、あんなイカれてる奴についていく女もイカれてるんだなって、ぼそっと言われたから」
「ゴミだな」
「ゲンたちのこと貶されてイラっときた」
「自分が貶されたことに怒れよ」
「どうして？」
「どうしてって……」
「私が貶されたらゲンたちが怒ってくれるじゃん」
「たしかにそうだが」
「だから私はゲンたちが貶されたら怒るよ」
案外真剣な目で言うAに、俺は反論できなかった
Aの言っていることはもっともだったから、反論する必要もなかったのだが
「Aは優しいな」
「え、ゲンのほうが優しいよ」
「……ありがとな」
「へへ」
綺麗な額にキスしてやれば、嬉しそうに笑う
こんな爆弾魔のことを優しいと言う人間は、世界中探してもAだけだろうし、俺の両手の手のひらを怖がらない人間も、Aとサブ、バラだけだろう
3人がいてよかったと、心から思う
サブとバラも黙って俺たちについてきてくれていて、話し合いを放棄したままなことを咎めることはなかった
こういう時間ばかりであればいい
はやくこんなゲームをクリアして、4人で平穏に暮らしたかった
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ライ(プロフ) - カナさん» こちらも読んでくださってたんですね！ありがとうございます。楽しんでいただけたみたいでとても嬉しいです！ (2020年9月28日 10時) (
レス) id: 182c279fa9 (このIDを非表示/違反報告)
カナ(プロフ) - 最期まで読みましたがとっっっても面白かったです！！！！ゲンスルーの作品中々ないので読めて幸せでした。もし続編があったら楽しみにしてます！改めて完結お疲れ様です！ (2020年9月28日 0時) (レス) id: 653b7cacce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ライ | 作成日時：2020年9月25日 10時
