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No.036 いちばん大切なこと ページ36

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「ゲン、ごめん」

「は?お前どうした!?」



俺たちが3人で次の作戦の話し合いをしていたときに、ごめんと謝りながら姿を現したAは、全身が血だらけだった



「どこ怪我した?」

「誰にやられた?」

「おい痛くねえか?大丈夫か?」



話し合いなんてすぐに放り出して3人とも慌ててAに駆け寄り、体を確認する
黒っぽい血が義足の足を中心として飛び散っている



「おいA、どこが痛い?」

「どこも痛くない。これ返り血」

「返り血?本当か?」

「うん」

「痛いとこねえんだな?」

「痛いとこない」

「ならいい」



Aの綺麗な顔にも汚い血が少し飛んでいる
頬に飛んだ血を親指で拭い取ってやると、Aはありがとうと微笑んだ



「殺しちゃったの、怒らないの?」

「なに殺したんだ?」

「ゲンたちがさっきまで話してた人間」

「そんなの殺していい奴らだ」

「そうなの?」

「ああ。どうせAの顔見られてるしな」

「よかった!怒られるかと思った」

「そんなことで怒らねえ」

「そっか」

「だが、お前がそんなに汚れてることには怒ってる」

「え。ごめんね」

「さっさと身体洗いに行くぞ」

「うん」



俺が自分にその血がつくのも構わず、Aを抱き上げようとすると、A自身の手で制された



「ゲンが汚れちゃうよ」

「歩けねえだろ」

「大丈夫だよ」

「嘘つけ。義足壊れたか?」

「……ちょっと変な方向に曲がってるけど、大丈夫」



なぜか言い訳して俺から離れようとするが、特に腕力に自信があるわけでもないAが敵うわけもなく、さっさと制してくる腕ごと抱き上げた



「ゲンの服、汚れちゃった」

「いいって言ってるだろうが」

「ごめんね」

「俺がAを運びたいから運んでるんだ」

「……ゲンありがと」



やっと大人しく俺の腕の中に収まった
俺の服が汚れることなんて、Aが歩くのに苦労していることに比べれば、本当に些細なことなのだ

さっき歩いてきたときに、いつも以上に変な歩き方をしていたことくらいはわかっている
もともと添え木をしただけ、みたいなクソ義足だから、Aは義足のほうを少し引きずりながら歩いているが、いまはそれよりずっと、歩くテンポがおかしかった
つまりその人間を殺したときに、身体に傷はなくとも義足が少しでもズレたのだろう
見た目にはズレた様子はないが、見れば歩き方でわかる








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ライ(プロフ) - カナさん» こちらも読んでくださってたんですね!ありがとうございます。楽しんでいただけたみたいでとても嬉しいです! (2020年9月28日 10時) (レス) id: 182c279fa9 (このIDを非表示/違反報告)
カナ(プロフ) - 最期まで読みましたがとっっっても面白かったです!!!!ゲンスルーの作品中々ないので読めて幸せでした。もし続編があったら楽しみにしてます!改めて完結お疲れ様です! (2020年9月28日 0時) (レス) id: 653b7cacce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ライ | 作成日時:2020年9月25日 10時

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