No.026 もうひとつの約束 ページ26
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いまさら一緒に水浴びしたくらいでサブが変な気を起こすわけがないこともわかっているし、Aに誘っている気がないこともわかっているから、そこは怒ってなどいない
問題は、ジスパーだ
ジスパーがAの裸を見たのだとしたらそれが事故だろうがAのせいだろうがいますぐ即刻ジスパーを爆破して嬲り殺さなければならない
そうしないと俺の気が収まらないからだ
「おいゲン、落ち着け」
「これが落ち着いてられるか？」
「気持ちはわかるがそれで全部パーにする気か」
「もとはと言えばお前らが目を離したからだろ？」
「そうだな。それは悪かった」
「それは謝るから、とにかく落ち着いてくれよ」
真剣な目をしたバラに言われて、ふと深く息を吐いた
Aだけがおれに抱き上げられたまま、何もわからないから不思議そうに俺たちを見つめている
「……そうだな」
「だろ？どうせ殺すんだ」
「いま急いで殺さなくてもいい、か」
「ああ。Aによるとどうやらジスパーって奴には見られてないようだしな」
「おい、A」
「なに？」
「このジスパーって奴とはもう話すな」
「わかった」
「困っても交信するな」
「しない」
「もし向こうからなにかアクションがあっても絶対取り合うな」
「とりあわない」
「約束できるな？」
「できるよ」
にこにこと笑って頷いて、小指を差し出したAに、俺も小指を絡めてゆびきりした
怒りで我を忘れかけていたが、そういえばそろそろ戻らなければならないのだと思い出して、俺はAを抱えていた腕からおろした
「もう行くの？」
「ああ。悪いな、A」
「ねえ、ゲンの香りがするもの欲しいんだけど」
「あ？」
「このジャケット、勝手に持ってきたんだけどね、もうゲンの香りしなくなっちゃったから……」
「そういえばこれ俺のか。似合ってるな」
「そう？ぶかぶかだよ」
「俺のって言ってるみたいでいい……が、あげられるものなんかねえよ」
「なんでもいいの」
「そうだな……ならハンカチやる」
「あ、ゲンの香りする！」
ちょうどポケットに入っていた使いかけでくしゃくしゃのハンカチをわたすと、すん、と鼻に近づけたあと、Aは嬉しそうに笑った
そんなものでいいなら、Aに会いに来れるたび毎回準備してしまいそうだ
「俺にもなんかくれないのか？」
「えー、私だってあげられるものなにもないよ」
「そうだな……」
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ライ(プロフ) - カナさん» こちらも読んでくださってたんですね！ありがとうございます。楽しんでいただけたみたいでとても嬉しいです！ (2020年9月28日 10時) (
レス) id: 182c279fa9 (このIDを非表示/違反報告)
カナ(プロフ) - 最期まで読みましたがとっっっても面白かったです！！！！ゲンスルーの作品中々ないので読めて幸せでした。もし続編があったら楽しみにしてます！改めて完結お疲れ様です！ (2020年9月28日 0時) (レス) id: 653b7cacce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ライ | 作成日時：2020年9月25日 10時
