No.013 予定調和 ページ13
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「サブ」
「なんだ」
「このフード、ゲンの香りするの」
「だから着てきたのか？」
「そう。安心できる、から」
泣きそうな顔のAと、ゆびきりげんまんを歌った
はやく誰もいない場所に連れて行ってやりたいと思っているのに、俺たちはニッケスに連れられて、懸賞都市アントキバのはずれに来ていた
そこに、ゲンスルーはいた
いつもよりずっとつまらなそうな顔をしている
Aと一緒にいるときのような、Aのことを見つめているときのような、慈愛に満ちた表情を、相当意識して作っているのだろう
これは、Aが見たら嫌かもしれない
俺はとりあえず話を聞くフリをしながら、Aを抱き寄せて頭を自分の胸に押し付けた
フードの中でなにか文句を言われているような気がしたが、無視していたらそのうち控えめに俺の背中に腕が回されて、おとなしくなった
ゲンスルーの方を見ても、目を合わせないようにしているのか、全く視線は交わらなかった
おおかた、Aのことを抱きしめたいだとか、撫でてやりたいだとか、そんなことを思っているのだろう
話を聞いているだけでもわかる、こんないい子ちゃんみたいな連中と四六時中行動を共にしているのなら、ゲンスルーに溜まっているストレスは相当なものだろうし、せっかく俺たちに会えたのに顔にも出せないまま会話も最小限でAにも触れられず、いまにもこいつらを爆破してしまいたい衝動を必死に抑えているのだろうし、俺はそれを刺激しないようにすることしかできない
まあ、どうせ協力は断る話だ
俺は参加するかどうかの決定権を完璧にバラに任せて、Aのことを見ながら、あまり話を聞いていなかった
バラがうまいこといろいろ情報を引き出してから断ってくれるだろう
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「断ってきたぞ」
「そうか」
「はやくどっか探そうぜ」
「そうだな」
「A大丈夫か？」
「まあまあだな」
さっさと予定通り断ったらしいバラが、俺たちを急かした
ゲンスルーのそばにいる時間が長くなればなるほど、知り合いであるとバレる恐れがあるうえに、Aのことも心配だからだ
結局一度もゲンスルーと目を合わせることはないまま背を向けることになってしまったが、この際仕方ない
俺の右腕に抱きついたままじっとしているAのフードをそっと覗き込んで、バラはやれやれと苦笑いした
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ライ(プロフ) - カナさん» こちらも読んでくださってたんですね！ありがとうございます。楽しんでいただけたみたいでとても嬉しいです！ (2020年9月28日 10時) (
レス) id: 182c279fa9 (このIDを非表示/違反報告)
カナ(プロフ) - 最期まで読みましたがとっっっても面白かったです！！！！ゲンスルーの作品中々ないので読めて幸せでした。もし続編があったら楽しみにしてます！改めて完結お疲れ様です！ (2020年9月28日 0時) (レス) id: 653b7cacce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ライ | 作成日時：2020年9月25日 10時
