No.024 バインダーの確認 ページ24
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「おい、お前らバインダー出せ」
「なんでだよ。お前にやれるようなカードねえぞ」
「違えよ。出せ」
「はいはい。ブック」
サブとバラのバインダーに順番にコンタクトをはめて、出会ったプレイヤーを見るが、特に言うべきことはない
まず俺の言いつけ通りあまりこの場所から動いていないようで、母数が少なかった
「A」
「なあに?」
「お前もバインダーを出せ」
「ブック」
ずっと嬉しそうに俺に抱きかかえられているAにも、バインダーを出してもらう
サブとバラ同様、本当に大したカードは入っておらず、コンタクトをはめても同じだろうが、念のため入れてみる
すると、出会ったプレイヤーリストのところに、出会っていないはずのジスパーの名前を見つけた
仲間に入ると決まった者がジスパーに会うのが一応の流れだから、入る前に誘いを断ったこいつらが、会っているはずがないのに
「A」
「なに?」
「ジスパーに会ったのか?」
「え?」
「ジスパーって名前がここにある」
「誰?ジスパーって」
「俺がいま一緒にいる奴らのうちのひとりだ」
「知らないよ」
「知らねえわけねぇだろ」
「本当に知らないよ、ゲン怒ってる?」
少し強く言い過ぎたのか、Aはびくりと肩を震わせて泣きそうな顔になった
それでも俺の体に抱きついた腕は離そうとしない
「怒ってねえ」
「怖いよ、ごめんなさい」
「いや、悪い。怒ってないから謝るな」
「ほんとに怒ってない?」
「ああ。悪い」
「よかった……で、なんだっけ」
「ジスパーだ。こいつと接触したならマズイんだが」
「でも私このジスパーって人覚えてない」
「サブとバラのには無かった。お前、ゲームの中でひとりになったことあるか?」
「うーん……あ」
「心当たりあるんだな?」
「ごめんね」
「ひとりになるなって言わなかったか?」
「言った、よね。ごめん」
「約束したよな?」
「……ごめん」
「いま言ってもしょうがない。何もなかったんだな?」
「うん。あのね、この先に綺麗な泉があるの。サブが連れて行ってくれたところ」
「ほう。そこにひとりで行ったのか」
「サブは悪くないから、私が勝手に行ったの」
「それで?」
「その時話した人が、そのジスパー?だと思う」
「ゆっくりでいいから、その時のこと思い出して話してみろ」
「えーと、若い男だった」
「そうだな。ジスパーはたしかAのひとつ上だ」
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ライ(プロフ) - カナさん» こちらも読んでくださってたんですね!ありがとうございます。楽しんでいただけたみたいでとても嬉しいです! (2020年9月28日 10時) (レス) id: 182c279fa9 (このIDを非表示/違反報告)
カナ(プロフ) - 最期まで読みましたがとっっっても面白かったです!!!!ゲンスルーの作品中々ないので読めて幸せでした。もし続編があったら楽しみにしてます!改めて完結お疲れ様です! (2020年9月28日 0時) (レス) id: 653b7cacce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ライ | 作成日時:2020年9月25日 10時