No.023 充電 ページ23
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「もっと一緒にいたい……」
「俺もだよ」
「ダメなの?」
「悪い」
「……ゲンは、あの人たちといるのが好きなの?」
「は?んなわけねぇだろ」
「でも、そっち優先なんでしょ」
「そういうわけじゃない。Aならわかるだろ?」
「わかってるよ」
「な?」
「うん……」
Aのいたるところにキスを落として、くすぐったそうに身をよじるのを抱きしめて腕の中に閉じ込めて、寝ていたせいで少し絡んでいる髪を手ぐしで梳かして、ただ久しぶりのAを充電する
俺と同じようにゲーム内で生活しているはずなのに、とても優しくて太陽みたいな香りがした
とりあえず落ち着いた様子のAに、ホッとする
俺も人のことは言えないが、これだけ俺のことを待ち望んでいたのなら、この半年、サブとバラは相当大変だっただろう
「あ。お前、指輪は?」
「ん?あ、右手の人差し指につけてるよ」
「左にしろ」
「どうして?」
「いいから。外すぞ」
「いいけど」
Aの細い指から指輪を外して、左手をとる
俺が右手の薬指にしているからという単純な理由で、Aには左手の薬指にさせたかったのだ
「ほら。これでいい」
「ありがと」
「本物はいつかやるよ」
「本物?」
「昔お前が言ってただろ。お姫さまになりたいって」
「ゲンが私をお姫さまにしてくれるの?」
「これが終わればな」
「ほんと!?」
「ああ」
「やった。約束だからね!」
嬉しそうに笑っているAの後ろで、サブとバラが俺を見てニヤニヤしているが、この際どうだっていい
いままで毎日一緒にいたAが、同じゲーム内にいるのに会いに行けないという状態がどれだけ辛いかということをこいつらは全くわかっていない
背伸びして俺の首のあたりに抱きついているAをそのまま片手で抱き上げて、この期間に少し痩せたなと思った
「おいサブ」
「なんだ」
「Aは大丈夫だったか?」
「ああ。問題ないぜ」
「そうか」
「お前もお疲れさん」
「そうだな。お前ら以外と話すのはすごく疲れた」
「お前すげー猫かぶってたな!」
「うるせぇ」
ニッケスたちと一緒に会ったときのことを言って笑うバラを軽く殴りつつ、俺は自分のバインダーを出した
「おい、お前らバインダー出せ」
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ライ(プロフ) - カナさん» こちらも読んでくださってたんですね!ありがとうございます。楽しんでいただけたみたいでとても嬉しいです! (2020年9月28日 10時) (レス) id: 182c279fa9 (このIDを非表示/違反報告)
カナ(プロフ) - 最期まで読みましたがとっっっても面白かったです!!!!ゲンスルーの作品中々ないので読めて幸せでした。もし続編があったら楽しみにしてます!改めて完結お疲れ様です! (2020年9月28日 0時) (レス) id: 653b7cacce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ライ | 作成日時:2020年9月25日 10時