第26話 ページ28
「そんなことが……」
話を語り終え、ホッと息を吐いたりんに、深雪は目を見開いた。
「ええ。まあ、他人の傷を受け終える様になったのは私が小学校を卒業した後のことでしたけれど、中学に入ってからは部屋に引きこもって居ましたので、貴志くんが妖に襲われた時以外にはほとんど使ったことが有りませんでしたが」
いつの間にか元の口調に戻っていたりんはヘラっと笑いながら、かなり衝撃的ことを言った。
「え? 貴女、中学の頃からずっと勉強してないの?」
「ああ、違いますよ。確かに学校へは行きませんでしたが、貴志くんの持っていた教科書とか宿題を見せてもらっていたので頭は大丈夫なんですよ」
「え、でも、そんなことをすれば保護者の方が」
「りん、薬貰ってきたぞ」
深雪の話が一時中断され、貴志が小さな木箱と、少し大きな袋を持って部屋に入って来た。
「貴志くん、おかえりなさい……ずいぶん遅かったんじゃないかしら?」
「ああ、悪い。少し白蜜姫に絡まれて……」
「そう。まあ、別に大丈夫だったから急がなくて良かったけど」
そして、また深雪に向き直った。
「で、さっきの話の続きですけど、私たちのことなんて心配していませんでしたよ。だって、私が引きこもっていても、ご飯を持って来てくれるだけでしたもの」
「……そうだったんですか」
深雪は少し、貴志たちを達也と重ねたのだろう。
辛かったでしょう、とは言わなかった。
「まあ、だからこうしてユキちゃんや達也さんたちと出会えたんですから、もう良いんです。ね、貴志くん」
「ああ、そうだな」
「あら、ゴメンなさいね。ずいぶん長く話し込んでしまって」
「いえ、気にしていませんよ」
そして、ここまでの成り行きを見守っていた達也が口を開いた。
「りん、一つ頼みたいことがある」
「はい、なんでしょう?」
「今度の家庭教師の日、幹比古を連れて来る。その時、りんは幹比古の古式魔法の対戦相手をしてほしいんだ」
りんはパチパチと瞬きをして、ニッコリと笑い、
「ええ、良いですよ。まあ、私が相手じゃ一瞬でやられちゃうと思いますけど」
かなり自信満々な応えを返した。
─────────────────────
回想編、読んで下さってありがとうございました!
あと、白蜜姫のことは後々出てきますので、ご理解お願いします。
53人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yuumin - 面白いですね。あと、D組だと一科生になりますよ。長文失礼しました。 (2022年8月5日 10時) (レス) @page32 id: 79387fae85 (このIDを非表示/違反報告)
夏目りん(プロフ) - 白沢未海さん» 分かりました? チョッと要素入れてます^ ^ タグつけた方が良いですか? (2015年6月4日 15時) (レス) id: 25a8f2a381 (このIDを非表示/違反報告)
白沢未海(プロフ) - ナビ・ルナ好きですか? (2015年6月4日 14時) (レス) id: 455b50df85 (このIDを非表示/違反報告)
夏目りん(プロフ) - 一颯さん» 教えてくださって、ありがとうございます!全然気付かなくて…… (2015年4月13日 7時) (レス) id: 25a8f2a381 (このIDを非表示/違反報告)
夏目りん(プロフ) - 麻衣ちゃん、ありがとう!私も応援しています! (2015年4月13日 7時) (レス) id: 25a8f2a381 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夏目りん | 作成日時:2015年3月3日 15時