歯車は今、処刑台を彩める。 (ページ3)

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レジスタンスの歯車ページ3

どこかで狼が泣いていた。

その泣き声を少女はぼうっ…と聞いていた。

誰かが吠えるように叫んだ。

その狂気を少女はうんざりと聞いていた。

ヒヨ・ユメルス・スヴァンガーリ(ひよ・ゆめるす・すゔぁんがーり)は革命軍のリーダーだった。

政府軍が此方に向かっているそうだ。

ヒヨは皆に合図しバラバラに散った。

…戸を開けると青年が1人、後片付けをしていた。

「マスターは？」

「今日は時計台の番なんだってさ。」

ヒヨはそう、と言って椅子に座り込んだ。

今日の会議で明朝、老人が来次第また会議をするという事になった。

「甘いの作ろうか？」

「…うん。」

疲れた、と訴えた気な華奢な体にヒトエは毛布をかけた。

ミルクと砂糖、生クリームが甘く溶け合う。

「はい、少し冷ましておいたよ。」

「ありがとな。」

甘い珈琲を一口飲んでヒヨは月を見た。

紅く、不気味に笑う月。

ヒヨはヒトエの顔を見た。

食器を丁寧に磨いている。

「マスターは何で私をこの家に引き取ってくれたんだろうな。」

「それは僕も聞きたいな、」

ヒヨは珈琲を飲みながらヒトエの声を聞いた。

うんざりと、聞き慣れすぎた声。

「店長は、僕がこの街に必要だって言ってた。でも、僕にはその意味が分からない。
皆、僕は要らないって言うのに、何でだろうね。」

「アンタがこの街に必要？…どういう事？」

「分からないから言ってんじゃん。」

ヒトエが微笑む。

ヒヨはその顔に無性に腹が立ち、ヒトエの腕を思いっきり殴った。

ヒトエは痛いよ、と笑う。

月はそんな2人を冷たく見下ろしていた。