47話 疑心暗鬼 ページ48
貴『そ…外でっ！バッタと戯れてきまーすっ！！』
そう言って立ちあがろうとするも白石に服の裾を掴まれてしまい、そのまま床に尻餅をついてしまった。
白石「ミツキちゃん俺…もう我慢出来ねぇ……」
貴『ひ…人前ですよ…！？』
「構わん！」とガバッと抱きしめられ、とうとうオーバーヒートしてしまったミツキはこれ以上ないくらいにまで顔を赤くし、気を失ってしまった。
白石「あ…あら……？」
杉元「…っ相撲しようぜっ！」
「なるほど…そうか！！」
その後白石達は、倒れた尾形とミツキを床に寝かせたまま、仕方なく相撲をとって欲を昇華させた。
そうして、朝日と共にバッタの群れもいつの間にかいなくなっていた。
白石「バッタ…どっか飛んでったみたい…」
杉元「うん…そうだね…」
キロ「なんか盛り上がっちゃったな…」
貴『うーん…寿命が縮んだ…』
「…」
早朝の冷たい風が、まだ少し火照っていた顔を冷ましていく。
昨晩のアレはなんだったのだろう…
まさかラッコで気を失うなんて…
杉元「誰にも言うなよ…」
貴『言う必要無いですし…』
谷垣だけを番屋に置いて、ミツキ達は浜辺へ向かった。
白石「あ、いたいた！アシㇼパちゃんだ〜」
杉元「良かった、無事だったか」
キロ「よう、アシㇼパ。
………？」
返事をせずにキロランケを見つめ続けるアシㇼパに、違和感を覚える。
アシ「キロランケニシパが…私の父を殺したのか？」
「！？」
突然の展開に、その場にいた全員が息を呑んだ。
キロ「…俺が？なんだよいきなり…」
イン「私は長沼の競馬場で、男性方の指紋を採取し照合を依頼したところ、
キロランケさんの指紋が数年前のある場所で採取されたものと一致しました。
アシㇼパちゃんのお父様が殺害された現場です」
アシ「遺品のマキリの刃に、指紋がついていたそうだ。
父とは何年も会ってないと言ってたよな」
その空気の中、尾形が待ったをかける。
尾形「この女、鶴見中尉と通じてるぞ」
それからインカラマッが鶴見中尉を利用したことを聞き、皆が疑心暗鬼に陥るものの、ひとまず保留となり、そのまま先へと急いだ。
…
そして夜、塘路湖のチセにて最近村を襲撃したという盗賊の話を聞く。
男「奴らは全員目が見えない盲目の盗賊なのだ。そいつらの親玉の体には、奇妙な刺青があるそうだ」
また網走監獄の脱獄囚か…どんだけいるんだ。
白石「硫黄山で苦役させられた囚人の生き残りだ。
名前は都丹庵士…」
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作者名：ちあきんぐ | 作成日時：2024年2月25日 22時
