46話 混沌鍋 ページ47
その後避難したのは良いものの腹を空かしていると、谷垣が持っていたラッコの肉を鍋で煮ることに。
貴『なんか臭い…』
白石「本当に食べられるものなのぉ？」
杉元「…？」
貴『…あれ…』
なんか……白石が色っぽい…
変だな…と、瞼を擦る。
谷垣「杉元、峰山、大丈夫か？…おっと…またボタンが…」
「！！」
ボタンが弾け飛んだぞ…！
なんだこのマタギは…けしからん…
そんな不純なことを考えていると、ふと白石の目線が刺さっている事に気がつく。
貴『なんですか…？』
白石「…い…いやぁ……べつにぃ…？」
言い淀んだ白石はゴクリと唾を飲み込み、ミツキをただ見てくるのみ。
白石だけならいつも通りだが、杉元と尾形、谷垣までもが見てくるので流石に疑問に思った。
尾形「……う…頭が…クラクラする…」
貴『私も…なんかここ暑い……』
杉元「横になれ！今すぐに！」
谷垣「胸元を開けて楽にしたほうがいい！」
白石「ミツキちゃんも脱ごう！手伝うぞ！」
貴『ちょ、引っ張らないでくださいよッ変態…！』
白石に着物の衿を引っ張られそうになり、ミツキは慌てて彼の手を引き剥がす。
その時、番屋の戸を開ける音がした。
皆が戸の方へ目をやると、久しぶりに見るキロランケがそこに立っていた。
キロ「ってて！耳噛まれたぁ！…よう、久しぶり」
杉元「キロランケ…！」
貴『何故脱いで…』
キロ「暑くてな」
そう言って白石とミツキの間にドスンと座り、話をし始めた。
キロ「土方達とは旭川ではぐれたままそれっきりだ。第七師団を撒くために、お前らは一旦十勝方面へ下山するだろうと俺はふんだんだ。
そしたら近くのコタンでお前らの話を聞いてな…」
頭がぼんやりとしたまま話を聞いていると、
「それよりよ…」とキロランケがミツキを見て言った。
キロ「峰山、お前…ちょっと見ない間に…急に良い女になったなぁ…」
貴『…ほ…褒めても何もあげませんよ…？』
突然キロランケに褒められ、満更でもない様子でモジモジと照れるミツキ。
「かわいい…！」
白石「キロちゃんも、前より良い体になってねぇか？えぇ？」
キロ「そうかぁ？どうだ谷垣！峰山！」
「…！」
谷垣とミツキにこれ見よがしに筋肉を見せつけてくるキロランケに、ミツキは思わず顔を背けてしまう。
貴『く…っ』
なんなんだこれは…刺激が強すぎる…！
そんな中ふと視線の先にいた白石が、ミツキの手を握って見つめてくる。
白石「……ミツキ…ちゃん…」
貴『…！？』
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作者名：ちあきんぐ | 作成日時：2024年2月25日 22時
