44話 鶴の舞 ページ45
その後なんとか下山し、釧路の湿原にて。
杉元とアシㇼパが食べるための動物を狩りに森へ行っている間、ミツキと白石、尾形の三人で待つことに。
白石「おなかすいたね……って、なにしてるのミツキちゃん？」
貴『…蟻が獲物運んでる…』
尾形「…」
白石「蟻ぃ？」
そう言われ先程から熱心に地面を見ているミツキの目線の先を追うと蟻の行列が出来ており、他の虫の死骸を蟻達が熱心に運んでいた。
貴『この列どこまで続いてるんだろ…』
白石「えぇ？待ってミツキちゃん、置いてかないで！」
貴『あ、帰ってきた』
立ち上がり蟻の行列を追いに行こうとするミツキの袖を白石が慌てて掴んで止めていると、大きな鶴を抱えた杉元とアシㇼパが帰ってくるのが見えた。
…
杉元「うーん…」
貴『臭い…』
アシ「泥臭いようなムッとする変な匂いだろ？」
白石「なんで丹頂鶴なんか獲ったんだ！」
プンッと頬を膨らませて文句を言う白石にアシㇼパは、杉元が北海道の珍味を食べ尽くしたいと前に話していたからだと説明するも、そんなこと言ってないと杉元から指摘されてしまう。
貴『てっきり珍味好きなのかと…』
杉元「ちげえよ！俺はそんな目的で北海道を旅してるんじゃないんだよ！」
アシ「……杉元はどうして金塊が欲しいんだ？」
少しの沈黙の後アシㇼパが杉元にそう尋ねると「言ってなかったっけ」と言い、戦争で亡くなった親友の嫁を目の治療の為アメリカの医者に診せたいのだと話した。
尾形「"惚れた女のため"ってのはその未亡人のことか？」
白石「え？そうなの？」
貴『杉元さんにそんな人が…』
意外だなぁ…なんて思っていると、突然アシㇼパが立ち上がり謎の舞をバサバサとし始めた。
貴『アシㇼパさん…？』
杉元「アシㇼパさん、どうしたの…？」
アシ「鶴の舞！釧路に伝わる踊り」
そう言いフー…と息を切らすアシㇼパにミツキ達は首を傾げていたが、ミツキだけハッと気付く。
貴『…！アシㇼパさん…もしかして嫉…ッ！？い゛た゛ぁ゛ッ！！』
白石「へ！？」
杉元「アシㇼパさぁん！？」
尾形「ふ…」
アシㇼパはミツキの言葉を遮るように「黙れッ」と、いつのまに出したのかストゥで膝をバチィンッとぶん殴った。
唐突なことに杉元と白石はついていけていないようで、かなり驚いた様子でアシㇼパとミツキを見ている。
そんな中、尾形が口を開く。
尾形「…こっちに誰か来るぞ」
アシ「チロンヌプと…チカパシだ。
なんでこんなところに…」
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作者名：ちあきんぐ | 作成日時：2024年2月25日 22時
