【金カム】坊主頭に興味が湧いて (ページ43)

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42話　温もりの中ページ43

そんな時、アシㇼパが何かを閃いたようで杉元に叫んだ。

アシ「杉元！オスを撃て！大きいのが三頭必要だ！」

杉元「鹿を撃つのか！」

杉元が言い終わる直後、銃声と共に鹿が二頭同時に撃ち抜かれた。尾形だ。

杉元「二頭同時に？！」

流石だな…と感心しつつも、そんな場合ではない。
アシㇼパ達は急いで撃った鹿に駆け寄り、皮を剥ぎ始める。

アシ「大雑把でいい！鹿の体に避難する！」

杉元「鹿の死体の中に！？」

その時、白石がよりにもよって全裸で小躍りしているのが見えた。

貴『白石さん何してるんですか！？』

アシ「パウチカムイに取り憑かれた！」

貴『とにかく急いで腹を切らないと…！』

そうして白石の分の鹿を捌き、中に白石をなんとか押し込んだ。

尾形「あともう一頭撃って捌いてたら死ぬぞ！来い！」

尾形に手を引かれ、尾形の捌いた鹿の中へ二人一緒に入ることとなった。

貴『うえ…血生臭い……』

尾形「…我慢しろ」

ヤマシギの件で話したぐらいで、そこまで接点がないせいで沈黙が続く。
気まずさを感じているうちに、ウトウトとし始める。

貴『……あったかい…』

尾形「…」

こうして身を寄せ合っていると、ずっとずっと昔の優しかった母を思い出す。
なぜあんなふうになってしまったのだろう…

そういえば白石は無事だろうか
全裸のまま鹿に突っ込んでしまったけど…

ひとつの心配を残して、ミツキは深い夢に落ちていった。

…

それから暫くして日は昇り、ミツキ達は網走方面での待ち伏せを警戒してそのまま十勝方面へ下山することに。

「痛あッ！！」

貴『ん？今の声は白石さん？』

下山し森に入って少し経った頃、白石の叫びがあたりに響いた。

アシ「どうしたシライシ、オソマをしようとして肛門に小枝でも刺さったのか？」

杉元「野糞してて金玉を笹で切ったんじゃないか？」

貴『その両方かもしれないですね〜』

そんなことをミツキ達が話していると、白石がなにやら蛇を手に持っている様子が目に入ってくる。

貴『それどうしたんですか？』

白石「転んでヘビに噛まれた…」

アシ「ヘビ！？」

杉元「蝮じゃねえか！！毒あるぞソレ！」

アシㇼパが「ぎい〜ッ」と聞いたこともない奇声をあげる横で、杉元は冷静にそう言う。

白石「咬まれたとこすげえ痛くなってきた…毒で死ぬかも……」

貴『ど…毒…切り取ったら良いんですかね…？』

白石「やめて！！それはそれで死んじゃうから！！アシㇼパちゃん吸い出して！！」