【金カム】坊主頭に興味が湧いて (ページ5)

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4話　鯨ページ5

アシㇼパによると、別のコタンというものの船が鯨に昨日から引っ張り回されているという。

貴『昨日から？よく体力が持つなぁ…』

アシ「加勢してやろう！杉元！」

それから暫く漕いでいると、大きな鯨が水面から水飛沫と共に姿を現した。

男「首だ！首の皮膚が柔らかいぞ！」

杉元「どこが首か！わかんねぇよ！」

そう言って杉元達が銛を投げて刺して行くのにならい、ミツキも頑張って投げてみる。

貴『刺さった…！』

ミツキが最後に刺した直後、物凄い速度で泳ぎ進む鯨に船ごと引っ張られる。

白石「うおおお？！すげぇ勢いで引っ張り出した！！」

貴『ひっ！落ち…っ！』

突然の加速に体がついて行けず、グラリと小舟から落ちそうになる。

パシッ

後少しで海にドボンというところで、白石の手がミツキの肩を掴んで彼女を小舟内に引き戻した。

白石「おいおい、肝心の見張り役が落ちてどうすんだ？うん？」

これ見よがしにバチこり☆とウインクしてみせる白石に、ミツキは困惑と感謝が混じった冷ややかな目を向けて感謝を述べる。

貴『あー…ありがとうございます…』

なんだこの人…目にゴミでも入ったのかな…
……帰りたい…

何故だかこの薄ら坊主の顔を見れず、彼から目を逸らしてしまう。恐らくこのドヤ顔がムカつくからだろうと、ミツキは適当に結論付けた。

白石「やばい、鯨があっちに向かってる…！おい！突っ込むぞ、気を付けろ！」

白石の言う方向には他の人々の乗る船が浮かんでいた。
恐らくあれはニシン漁場の人達だろうか。

そう認識した時には遅く、ドンッと大きい音を立てて先方にあった船が揺れ、一人の漁師が落ちたのが見えた。

貴『漁師が…！』

杉元「ん？」

何やら杉元がアシㇼパの伯父と話したかと思うと、今度はこちらに向かって叫んだ。

杉元「白石！頼んだぞ！クジラの分け前をしっかりもらってこい！」

そう言うや否や、彼は小舟とクジラを繋いでいた一部の紐を切ってしまった。

白石「え！ええ？うえぇえぇーー？！」

貴『はあ…こんなの、私がわざわざ見張りにくる必要無かったんじゃないですか、土方さん…』

ミツキがため息混じりにそう愚痴を漏らすと、なにやら白石がシーッ！と必死にジェスチャーする。

白石「シッ！す…杉元に聞こえたらまずいだろ！」

貴『はいはい』