【金カム】坊主頭に興味が湧いて (ページ40)

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39話　白石奪還計画ページ40

杉元達は事前に土方から落ち合おうと言われていた場所に辿り着くと、白石が兵隊達に捕まったことを永倉から聞かされた。

そのまま大人しく帰りを待っていると、ようやく土方達が帰還した。

土方「恐らく白石は、今頃旭川に着いてしまっているだろう。
あいつが勝手に脱出できたとしても、いつになるか分からないものを我々は待っているわけにもいかない」

永倉「脱獄王とはいえ、監獄とは違うんだ。どんな扱いを受けているか…」

家永「今この瞬間、皮を剥がされているかも」

想像しただけで気分が悪くなる…
ミツキの顔は分かりやすく青ざめた。

貴『そうだ、尾形さんは見てこれないんですか？第七師団なんですよね？』

尾形「俺は今脱走兵扱いだ」

杉元「キロランケは？元第七師団だろ」

キロ「俺はカムイコタンで顔を見られた」

「…」

八方塞がり、と言ったところだろうか。
長い無言が続き、「まあ…いいか…」と諦めるような雰囲気になってしまう。

牛山「…あいつの刺青は写してるし」

白石のいつものふざけた顔を思い浮かべ、意を決したのかミツキが口を開く。

貴『私は諦めたくない…です……。
自分は白石さんに何度か助けてもらっていた。その恩を仇で返すなんてしたくありません』

ミツキは少し緊張気味に、しかししっかりとした意思を持って発言した。

杉元「…俺も助けたい」

貴『！杉元さん…』

土方「ふざけた男だが、白石にはまだ使い途がある」

永倉「しかしどう助けるんです？」

永倉の問いに土方は、「あの男なら…」とだけ呟いた。
あの男…？

…

夜、旭川近郊にて。

杉元「誰だこいつは？」

土方「鈴川聖弘という結婚詐欺師だ。変装の名人でね、網走で知り合った」

土方はそう言って鈴川の服をはだけさせると、刺青が彫られているのが見えた。

貴『…！』

杉元「てめぇ、隠してたのか」

土方「全ての情報を共有すると言った覚えはないぞ」

また隠し事か…

牛山「…爺さん。俺にまで黙ってたのか」

土方「なあに、網走に行く途中で呼ぶつもりだったまでだ」

牛山「…食えないじじい共だ」

…

それから少しして、話を聞いていたミツキは「すこし外の風に当たってきます」と言うと、建物の外へと出ていった。

貴『ふぅ…風が涼しい』

そんな独り言を呑気に呟きながらも、頭の中は白石の事でいっぱいだった。
そして、ひとつのことを思い出す。

白石に隠れてこっそり見た、白石が写した辺見の刺青は、まったくのでたらめだったこと。