26話 生首 ページ27
ミ シ ッ …
「！！」
二人がそうやり取りしていると、扉越しにヒグマの息遣いが聞こえてくる。
貴『も…もうやだ…』
キロ「警戒して入ってこない…今のうちに戸を塞ごう！白石、峰山！手を貸せ！」
…
仲沢「何をやってるんですか？」
「え？」
そうして簡単に押し入られないように出入り口の補強をしていると、ふと細長い男が声を掛けてきた。
短いながらも話を聞くと、どうやらこの家の家主だと言う。
白石「おっさん！トンカチはどこだ！？」
貴『トンカチならさっきあそこに……え？』
バタバタと慌ただしく駆け回る白石を手伝おうとミツキが口を開くが、ふと視界に映った異様なモノに気付き固まってしまう。
貴『な……え…？』
キロ「峰山、どうしたんだ？
…っ！オイこれ……いつからここに…？」
二人の視線の先には二階への階段があり、そこに血のついた生首が二つ丁寧に並べられていた。
キロ「こいつら…競馬場の…」
貴『ど…どういうこと…？』
白石「おいキロランケ、ミツキ！何だよそりゃ！！」
若山「え゛ぇ？それは…」
キロ「トボけてんじゃねぇよオッサン。俺らより先にいて、この生首に気付かないわけ無いだろ」
白石「そういや牧場の従業員は、この家は使われてないって言ってたぜ。ホントにあんたの家か？」
仲沢「…っ！」
次から次へともう訳が分からない…
意味不明で不気味な状況に、ミツキは思わず頭を抱えてしまう。
そんな中、アシㇼパ達の声が外から聞こえてくる。
「白石ッ峰山ッいないのか！？戸が開かないぞ」
貴『あの声は！』
白石「杉元たちだ！！」
白石は急いで塞がれていない窓に首を突っ込み、杉元達を誘導する。
杉元「うおおッ集まってきやがった！！」
白石「飛び込め杉元ッ」
赤毛のヒグマがまだ近くにいたようで苦戦するも、なんとかギリギリ杉元達を窓から引っ張り入れることに成功した。
白石「よしッ危機一髪だぜ」
杉元「弾薬盒が…」
貴『弾薬ごう？』
まさか銃が使えない…？
杉元の言葉に一抹の不安を覚える中、窓の外から伸びた大きな毛むくじゃらの前足に、杉元達と一緒に来た従業員が引っ張られる。
杉元「あッ！！」
ぎゃあと男の断末魔が生々しく響く。
外に持っていかれまいと必死に足をバタつかせているサマを、杉元以外呆気に取られただ見続ける。
杉元「誰か手を貸せッ」
貴『っ手伝わなきゃ死んじゃう…！！』
白石「バカやめろッミツキじゃ持ってかれちまう！！」
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作者名：ちあきんぐ | 作成日時：2024年2月25日 22時
