【金カム】坊主頭に興味が湧いて (ページ14)

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13話　脱糞王ページ14

アシ「……信じない。自分の目で確かめるまでは。
私は、のっぺらぼうに会いにいく。もし本当にのっぺらぼうが私の父親なら、娘の私には全てを話してくれるはずだ」

キロ「確かに、北海道に散らばった脱獄囚を全員捕まえるよりは楽だろうな。少なくとも居場所ははっきりしている」

そんな話の中、突然白石の軽快な口笛が響く。

貴『……口笛…』

この人口笛吹けるのか…私はできないのに…

白石「甘いぜ甘いぜ。俺は日本中の監獄を脱獄してきたが、網走監獄は中でもとびきり厳重だ。
本人に会うなんてまず不可能だろうぜ？」

白石の言葉にアシㇼパは悲しそうな顔をする。

白石「俺の、協力無しではな！」

なるほど。

貴『"脱"役立たずですね…』

アシ「脱糞…いや、脱獄王…！」

キロ「脱獄王…？なんだそれは」

キロランケの質問に、顔が青くなっている白石の代わりに杉元が答えた。

杉元「白石は、網走監獄を脱獄してきた刺青の囚人だ」

白石「…っ！！」

杉元に促され、白石は仕方なしに上だけ服を脱いで刺青をあらわにした。

キロ「なるほど…」

そのまま白石の肩に手を置き、鋭い眼光を彼の肌に向け、「剥がせというわけか…」と言い放った。

杉元「やはりすぐにわかるのか…」

キロ「こんな真似ができるのは…あの人しかいない。
他にもあるのか？」

暫く間を置いた後、杉元はキロランケの質問に「無い」とだけ答えた。

杉元はキロランケのことを流石にまだ信用していないのだろう。当然の回答だ。

キロ「……そうか」

キロランケは何か含みを持たせたようにそう言うと、ちょうど乾いた自身の服を羽織る。

キロ「アイヌの金塊を奪ったこと、のっぺらぼうと同じ国から来た人間として、俺は責任を感じている。

お前達が相応の取り分を望むのは構わないが、残りはアイヌに返すべきだ。それを最後まで見届けたい」

…

そのままキロランケを連れ、アシㇼパのコタンに着いた五人。

貴『……いつ帰ろう…』

土方に白石の作った複製を持って帰るタイミングを完全に見失ったミツキは、最後尾で静かに冷や汗をかく。

コタンのうちの一つの建物に入ると、何やら弦楽器とよく分からないビヨンビヨンと音の鳴る楽器を演奏する子どもと男がいた。

アシ「！」

白石「…！うそ、谷垣？」

谷垣「軍服は目立つから、アットゥシを着るようにした」

「意外と着心地がいい」と言うその表情や口調から、真面目で寡黙そうだなという印象を強く受ける。