美男と化物 (ページ2)

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「ねぇ、あんた」

「はっ、はい…！」

毎日毎日一軍女子に怯える日々。

だいたい私はパシリに使われる。

今日もジュースを買ってこいと、
絶賛自動販売機へ向かっている途中である。

「なんで私がこんな目に……」

メガネのブスであることは変わりないし、

この学校じゃ浮くぐらい珍しい陰キャだってのは自分が1番わかってる。

でも同じ人間なんだから。

無意識に自動販売機のボタンへ手が伸びる。

アイツらがいつも飲むジュースの種類がわかっている自分に腹が立つ。

「たったこんぐらい自分で行けよな…」

そう思いながら階段を上ったとき、

手から缶ジュースが1本落ちていった。

「や、やばいっ」

「……。落としましたよ？」

「えっ、あっ、はい！ありがとうございます…」

「気をつけてくださいね」

い、イケメン…。

制服のネクタイを見る限り同級生らしい。

ニコって笑うと細くなる目に、頬の上にできるえくぼ。

すらっと長い手足とその小顔はまるでどこかの国の王子様のようだ。

「おい龍我、何してんだよ」

「えっ、あぁ。この子がジュース落としたから拾ったの」

「げっ」

あからさまに嫌そうな顔をしたもう1人のイケメン。

悪かったですね。メガネの陰キャで。

「行こうぜ龍我」

「あ、那須。待ってよ！」

拾ってくれた王子様は龍我。

性格の悪い方は那須。

名前は覚えても今後関わること無さそうだし。

とりあえず今は早くアイツらにこれを届けなきゃ。

(ピコンッ)

スマホがなった。

「なに……。…し、新曲!?」

そう。それは私が推しているグループの新曲をお知らせする通知だったのだ。

周りから嫌な顔をされ続けるこの高校生活も、

推しの顔を見ればどうでも良くなる。

ありがとう神様。

この1ヶ月はどうにか生き延びられそうです。

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