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「……や、やめて…」






小さなSOSが聞こえて、周りを見渡した。

いつもより少し遅い時間に電車に飛び乗ったのが原因か分からないが、車内は超満員で、窮屈だった。

周りにはたくさんの人がいたが、制服を着た学生は少なかった。

でも、可愛らしい女の子の声だったから、SOSの主はすぐに発見することができた。

その女の子の様子を見れば、何が起きているのかは容易に分かる。






「やめてあげてください、そうじゃないと、大声出しますよ」






少し強めの口調で言うと、そのおじさんはたじろいだ。

電車がどこかの駅についたから、その女の子を引っ張って一緒に降りる。

おじさんは別のサラリーマンのような人たちに捕まれて警備室に行ったから、多分もう大丈夫だ。






「……大丈夫ですか?」

「ふぅ、……危ないところをどうもありがとう」






そう言われて、心が暖かくなる。

女の子をよく見てみると、俺より背は低いから、てっきり中学二・三年生かと思ったいたら、

本当は多分大学一・二年生くらいの人だ。

背中に大きなギターを背負っている。






「いえいえ、当然のことをしたまでですから」

「凄いねぇ……高校生? 良かったらお礼させてよ! このあと時間ある? 近くに美味しいおすすめのカフェがあるの!」

「えっ、時間はありますけど、でも、全然そういうの大じょ」

「よし決まり!! ほらほら、」






その女の子……女の人はギターを背負い直して、俺の手首を掴んで改札へ向かった。

「いやいや、そんなの悪いですよ、」と言うもむなしく。

しょうがないので、ずーっと手に持っていた紙を鞄に半ば突っ込むようにしてしまい、その女の人と同じスピードで歩いた。






「私はカヤ。大学生。あなたは?」

「高校三年の、美門翼です」

「ふーん、タスクくんかぁ……あ、もしかしてそのボタン、開成?」

「あ、はい。そうですけど…」

「めっちゃ頭良いところじゃんなにそれ!?」






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あおい(プロフ) - 完結後、読ませていただきました。どのお話も、少し考えさせるような、奥が深いもので、私もこういう小説を書いていきたいです。 (2020年4月28日 7時) (レス) id: 331ddf8f4c (このIDを非表示/違反報告)
りぃあ♪# - 完結おめでとうございます!どのお話も奥が深く、読んでいてとても考えさせられました。とても面白かったです。 (2020年4月18日 8時) (レス) id: 77648adcbf (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - 完結おめでとうございます。どのお話もすごく心に残り、自分と重ね合って読んでいました。すごくいいお話だったと思います。 (2020年3月31日 19時) (レス) id: eb71493e70 (このIDを非表示/違反報告)
小幅 - とても面白い作品ですね!続きが楽しみです。 更新、無理しない程度に、頑張ってください! (2020年3月30日 15時) (レス) id: 62007663da (このIDを非表示/違反報告)
はんな(プロフ) - 情景描写がくわしくて、上階が本当に浮かんできます!素晴らしすぎる… (2020年3月28日 11時) (レス) id: 3170240b5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冷・結・ゆいなー・あお・ここは x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hp-rei/  
作成日時:2020年3月24日 19時

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