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『よし。休憩。』

「あぁ。結構やったな…っておい!
黒木、お前何でここ居んだよ!」

『練習しに来ただけだよ。』

「…そうか。」



ついさっきの練習の最中、若武の瞳が何回か揺れたと感じたのは、気の所為ではなかったようだ。

彼の純粋な真剣さや楽しさの中に、焦りや不安の色が見えた。



そこまでは感じたが、その理由が全く思い浮かんでこなかった。

ボールの隣で、そんなどこか乾いた表情を浮かべるのは彼にとって本当に珍しいことで、それが、若武自身の問題とサッカーが密接に関わっていることを示していた。





「お前、何かあったのか?」




若武が、俺に向かってそう問いかけた。




意表を、突かれた。






若武、何かあった?




本来そう俺が聞くはずで、そのために思案していたのに、逆に同じ言葉で問われてしまった。




それにしても。なぜ。



『ん、大したことじゃないよ。
お前の方こそ、どうした?』

「は?」

『何かあっただろ。』



俺が聞き返すと、若武は一瞬驚いたような顔をして、空を仰いだ。

彼は、そのまま何も話さない。



『俺のこと、人形とでも思ってみれば?』



俺の感情なんて気にしなくてもいい。
俺の答えを求めなくてもいい。

一方通行の話でもいいんじゃないか。


そんな意を込めた一言を、彼は珍しく受け取った。




「自分のスピードが、分からない。」







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あおい(プロフ) - 完結後、読ませていただきました。どのお話も、少し考えさせるような、奥が深いもので、私もこういう小説を書いていきたいです。 (2020年4月28日 7時) (レス) id: 331ddf8f4c (このIDを非表示/違反報告)
りぃあ♪# - 完結おめでとうございます!どのお話も奥が深く、読んでいてとても考えさせられました。とても面白かったです。 (2020年4月18日 8時) (レス) id: 77648adcbf (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - 完結おめでとうございます。どのお話もすごく心に残り、自分と重ね合って読んでいました。すごくいいお話だったと思います。 (2020年3月31日 19時) (レス) id: eb71493e70 (このIDを非表示/違反報告)
小幅 - とても面白い作品ですね!続きが楽しみです。 更新、無理しない程度に、頑張ってください! (2020年3月30日 15時) (レス) id: 62007663da (このIDを非表示/違反報告)
はんな(プロフ) - 情景描写がくわしくて、上階が本当に浮かんできます!素晴らしすぎる… (2020年3月28日 11時) (レス) id: 3170240b5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冷・結・ゆいなー・あお・ここは x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hp-rei/  
作成日時:2020年3月24日 19時

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