霧野蘭丸との出会い ページ11
〜貴方side〜
雷門中と天河原中の試合終了後、霧野くんは選手控え室に忘れ物をしていた。
その忘れ物を届けに行ったのが、私だったという。
貴方「そういえばあの時……」
雷門サッカー部が帰った後の控え室を掃除し始めた時、偶然誰かの忘れ物を見つけた。
選手が控え室を出て行ってすぐのことだったので、雷門の選手を乗せたバスはまだ出発していないはずだと考え、急いでバスの運転手に届けに行ったんだっけ。
霧野「危うく気づかないまま、天河原中を出てしまうところだった。古株さんから受け取った時に届けてくれた人の名前を聞いて、君のことを知った」
貴方「なるほど、そういうことだったんだね」
でもそんな些細なこと、気にしなくてもいいのに。
そう思ったが、霧野くんは律儀な性格の人だったようだ。
霧野「君にあの時の礼を言えないままだったから、今日会えてよかった。
俺の忘れ物を届けてくれてありがとう。あれは俺の大事なものだったから、本当に助かったよ」
貴方「あの、ほんと気にしなくていいですから! 私はサッカー部のマネージャーとしての仕事をしただけだし!」
霧野「そうか、君は優しい人だな。天河原サッカー部にはいいマネージャーがいる。
もちろん、雷門のマネージャーも優しくていい人たちだけどな!」
そう言って笑う霧野くん。こうして見るとさすがイケメン。
きっと、雷門じゃ相当モテるんだろうな。
貴方「ところで、あの忘れ物……。
布の袋に入ってて中身までは見てなかったけど、霧野くんの大事なものだったんだね」
霧野「ああ、中身はお守りが入ってる。幼馴染とお揃いのものだ。
あの時はフィフスセクターの支配が続いていて、自由にサッカーができなかっただろう? そんな状態でも、本当のサッカーができるようになることを諦められなくてさ。
それまでサッカーを続けようって約束と決意を込めて、二人でお揃いのお守りを買ったんだ」
友達とお揃いのお守りって! この人意外と可愛いことするな!?
なんて、茶化す場面じゃなかった。肌身離さず持ち歩くくらい、そのお守りは彼にとって大事なものだったんだ。
貴方「そっか。じゃあなおさら、届けることができてよかったよ」
そう言ってお互い笑い合ったところで、大事なことを思い出す。
行方不明の松風天馬くんのことを。
貴方「ねえ霧野くん。天河原中で聞いたんだけど……」
どうしても聞きたくて、私は恐る恐る話を切り出した。
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作者名:サリア | 作成日時:2020年2月6日 21時