43 かくされた時間 ページ44
最初に出会った時は、
敵だったのに。
何故だろう。
また船体が、大きく揺れた。
「……此処じゃ落ち着かないわ」
そうして気付けばアンの部屋。
あの時と変わらない、不思議なお部屋。アンは見当たらない。
「…………」
Aは辺りを見渡し、溜息をつく動作をする。
眩しくない、熱くない。
とっても素敵な空間。
帽子を、とって。
「紅茶はいかが?」
「…………」
湯気の立つティーカップを見れば。
不思議と、落ち着いた。
ポケットから、包を取り出す。それをモンゴメリに渡すと。
「あら、善い香りね。ありがとう」
包を開け、そのクッキーを、パクっと食べた。
「美味しい……売っているものみたいよ」
Aはペコリとお辞儀し、ティーカップを手に取ると、一口飲む。
満面の笑みを、彼女に見せた。
「ふふ、ありがとう。Aちゃんの善い香りは、これが正体だったのね。最初お会いした時からずっと思っていたわ」
サクサクと食べ進め、
「まるで、違う匂いを消す為みたいだって」
「…………」
Aは少しドキッとしたが、
次の質問で、何もかも回転する。
「それで結局、Aちゃんって探偵社の方なの?」
「…………」
思考回路は複雑に。
疲れているのか、何故か。
界Aは、武装探偵社社員か?
何だ、その質問は。
「あら、端末でもお答えにならないの?違うの?では何故、トラ猫ちゃんを追い掛けてきたのよ。何故、この街の為に行動しているの?」
質問の波が身体を溺れされる様。
いや、もう、溺れている。
答えなければ、
一生抜け出せない世界を。
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neko - 江戸川乱歩様、貴方には異能力が全く御座いません。サッパリです。 (2020年10月1日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - マカロニさん» マカロニ様、ご指摘ありがとうございます。早速プロローグにさせて頂きました。この様に切ない技量ですが、更新頑張りますので宜しくお願い致します! (2019年12月30日 11時) (レス) id: 51ec71086f (このIDを非表示/違反報告)
マカロニ(プロフ) - コメント失礼します。第一話のエピローグはプロローグの間違いではないでしょうか?(エピローグは終わりの時なので……)初コメントがこのような形ですみません。更新頑張って下さい。 (2019年12月30日 8時) (レス) id: 30ec427a94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:午 | 作成日時:2019年12月22日 22時