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新双黒   虎河豚【月華様Req.】 ページ39

「Aちゃん、まだかな」


 銀杏の木の下、秋の香りに包まれ、敦がニコニコ顔でもたれていると。

 肩を叩かれそうになった。
 ので振り向いて、


「……!」


 鬼の様な形相の芥川と、襲いかかる羅生門を、間一髪でかわす。


「ば、馬鹿!ここ街中だぞ!?」

「馬鹿は貴様だ間抜。Aの食事相手が人虎だったとは……殺しても構わんな」

「駄目に決まってんだろ!捕まっても知らないぞ!」


 一先ず落ち着いた芥川だが、不機嫌は続いている。そのサングラスの下の闇は増すばかり。


「今日はAちゃんに、河豚刺しが美味しい店を見つけたって、誘ってもらったんだ」

「何?僕も昨夜、河豚鍋の店について行ってやったが」


 二人して、思考を巡らせる。
 然しそれは無駄な事だと気付いた。


「相変わらずの河豚への傾慕……僕だけに向ければ良いものを。愚かな女だ」

「別に僕は良いけど……河豚を食べてるAちゃん、幸せそうだし」


 はたっと。
 何で隣にいるのがコイツなんだと、改めて敦は憤る。


「あーもぅ、早く来ないかなあ……連絡先、知らないからな……」


 それを聞いて、不敵に笑った芥川は懐から徐に携帯を取り出した。


「Aの携帯番号等、僕は既に取得済みである」

「き、今日絶対交換するし!お前本当黙っとけ!」


 敦が頬を膨らませていると、芥川は携帯をいじり始めて。


「……何してんだ?」

「人虎の河豚刺しだけ毒抜きをせぬ様、料理長を買収する」

「マフィアの力使うなよ!」

「黙れ。Aとの約束は僕に預け、貴様は早々に消えろ」

「何でだよ!」


「………………」


 ふむ。


 二人共、何時も通り言い争ってるけど、見てるこっちは楽しいなぁ。
 多分、水掛け論なんだろうな。


 Aは近くのカフェの窓際から、呑気に喧嘩を眺めていた。

 二人からは死角で見えないし、
 二人が何を争っているかは聴こえない。


 電話を掛ける。


「あ、すみません。今日、あと一人増えて良いですか?はい、河豚もう一匹!」


 虎河豚は、
 あのコリッとした食感と、
 淡白なのに上品な旨味が凄くて、

 鍋でも刺身でも、毎日食べたい。

 毒があるとしても、
 毒ごと食べたい。

 悪い所も、愛しちゃう。


 敦君が凄い食べるかな。
 芥川、余り食べないよね。昨日もそうだった。

 そうしてAは席を立ち、二人の元へ向かう。


 涙目の敦と、
 ドヤ顔の芥川を、


 花咲く笑顔で、迎え入れ――

フランシス・F マカロン→←新双黒   焼肉



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 短編集 , 甘い   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 体の90%がラムネさん» 体の90%がラムネ様、ご感想ありがとうございます!また三期でお待ちしております、宜しくお願い致します!更新頑張ってください! (2019年12月21日 23時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 闇川幽鬼さん» 闇川幽鬼様、単品で織田作登場です!ありがとうございます! (2019年12月21日 23時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
体の90%がラムネ - 初コメです!めっちゃ良きでした!!突然ですが、リクエストしたいですが…。ダメでしたね。すいません!また募集している時にいきます!更新待ってます!(自分も更新しろよと思う今日この頃) (2019年12月21日 13時) (レス) id: 8dd45af6f4 (このIDを非表示/違反報告)
闇川幽鬼 - 作之助様登場!!(*゚∀゚*)嬉しいです!(*^_^*) (2019年12月21日 0時) (レス) id: 56867ea8da (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 月瀬さん» 月瀬様、リクエストありがとうございます!只今からのリクエストは無効とします。ゆっくりで申し訳ありませんが、宜しくお願い致します! (2019年12月15日 11時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年8月25日 17時

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