2 文豪グルメ 短編集【文スト】

江戸川乱歩&坂口安吾　お好み焼き（学スト）【雪ノ葉様Req.】 ページ22

「………？」


　生徒会室に入ろうとして、違和感。知っている匂い、然し到底有り得ないと疑問する。


「失礼します。風紀委員の坂口です」


　入室し、目に飛び込んできたのは、


「わ、美味しい。もっちもち」

「だろうだろう。むはむは」


　お好み焼きをつっつき合っている生徒会長・乱歩と、放送委員長・Aの姿。


　え、何してるんだ。


「え、何してるんですか、Aさん」

「乱歩君に、放送室で好き勝手にライブするの止めてって言い付けに来たら、餌付けられて」

「何してるんですか本当に。で……それは？」


　その後ろに山のように積み上げられた発泡スチロール。中身は全て、その、
　
　
「染太郎のお好み焼き！出前！良いでしょ！」

「……あそこ、出前なんかありました？」

「僕が持ってこいと言えば、持ってくるのさ！」


　ううむ。
　流石、稀代の生徒会長。
　我が校始まって以来かもしれない破天荒振りである。


「その経費はどこから…？」

「細かいことは気にするな！今日は特別に、お前も食べていいよ！」


　なんか嬉しそうな乱歩。お好み焼きが美味しいからだろうか。


「ほら、安吾君」


　Aが一口差し出してきた。


「もう放課後なんだし、どうせこれから見回りでしょ？体力つけないとだよ、男子高校生」

「はあ」


　一口貰った。


　カリッ、もちっ、ジュワッ。
　何時も食べ慣れている味。

　うん。


　着席し、箸を貰う。
　
　キャベツ、合挽肉、烏賊下足、桜海老、焼き蕎麦、様々な具材があるからこその食感、コク、薫り。


「こういう太くて縮れてる蕎麦、好きなんだよねぇ」

「僕も好きー！」


　というか、何で一つのお好み焼きをつついている。各々で食べれば良いのに……。


　と、坂口が生地と一緒に蕎麦を取ると、


　その先の端っこを、Aが同時に取った。


「おや」

「あら」

「………」


　蕎麦で繋がる箸。


　その一瞬の間をおいて。


「あーーーむっ」


　真ん中から、乱歩が蕎麦を吸い取って行った。
　二人の箸には、何も残っておらず。


「あぁ……食いしんぼ」

「はあ？そんなんじゃないし！Aは坂口なんかと、でぃずにーするんじゃないよ全く！」

「「ええ……」」


　相変わらずの大暴走。
　卒業したら、もうこれは見れなくなるけれど。


「今度、染太郎の学生限定行こっか」

「行きましょう」

「僕も連れてけ！」


　それは一瞬だが、


　永遠の思い出と、なる。

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