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「大変ご迷惑をおかけしました！ありがとうございました！申し訳ありませんでした！」
小さな彼女ーーAは、思いっ切り体を震わし、深深と頭を下げてきた。
件の喫茶店。
先程まで2人がいた場所。
より少し離れた場所にある別の喫茶店で、
その警察車両に塞がれた店を、事情聴取をされているマスターを遠目に見ながら。
「マスターに伺いました。間一髪の所をお助け頂いたと。
本当に！ありがとうございました！」
きらきらした瞳で見つめるA。
あの孤児達も、こんな瞳をしていた時期があったなぁと勝手に感慨に耽る織田。
ちなみに、彼等にも行く筈の事情聴取は、マスターの計らいでパス出来た。
あの時間、客は一人もいなかった事になっている。
「さぁ！何でもお好きな物をご馳走します！何が良いですか！」
「いや、いい」
「駄目ですよ！ほら、メニューです！」
ずずいと出されたメニュー。真っ黒な紙の上に、洒落た文字が並んでいる。
様々なドリンク、スイーツ。
そして軽食ーー
「カレェだ」
「カレェですね！」
発見を呟いただけなのに、風の速さで注文されてしまった。
いつも寝惚けている彼女しか知らなかった故、こんな元気に喋る奴だったのかと吃驚する。
ニコニコするA。
その名前を先の自己紹介で知った時……何か知らない感情の波が押し寄せてきた。
あれは何だったのだろう。
彼女の名前を反芻して、
心が浮き立つ様な。
そうして視線を落とすと、彼女の或る物に目がいった。
「それは」
あの本だ。
「何の本だ」
聞いた。
気になっていた事だ。
カレェが来る間の暇潰しにも、丁度いいだろう。
「これですか？」
Aはその本を立てる。
矢張り、見事なまでに真っ白な本。
「これね、凄いんですよ」
何処か嬉しそうで、
何処か楽しそうな彼女は、
「何とこれ」
続けて言葉を紡いだ。
「本の中の白紙の頁に
書いた夢が、叶う本なんです」
「…………」
いつもは変わらない彼の表情が、
妙に煌めきを宿して、
その頁に、手を伸ばした。
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午(プロフ) - 怜さん» 怜様、ご感想ありがとうございます！お優しいお言葉で、泣きそうでございます。これからも頑張ります！ (2022年1月31日 20時) (
レス) @page45 id: 05323f7eaa (このIDを非表示/違反報告)
怜 - 場面を想像させる様な綺麗で幻想的な文に、しっかり作りこまれた物語。今まで読んだ織田作の夢小説の中で1番好きです。これからも頑張って下さい。 (2022年1月31日 1時) (レス) @page45 id: 64384c94d7 (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - 柊 琥珀さん» 柊 琥珀様、ご感想ありがとうございます.......！ 嬉しい.......！ (2022年1月9日 0時) (レス) @page42 id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
柊 琥珀(プロフ) - 書き方が好みだ……。 (2022年1月8日 17時) (レス) id: 17f9b038b0 (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - Asukaさん» Asuka様、ありがとうございます！めっちゃ頑張って書きます！ (2021年8月24日 20時) (レス) id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：午 | 作成日時：2021年6月27日 0時
