【カゲプロ】画面の奥の君と僕【カノキド】 (ページ7)

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帰宅後、着替えや課題を済ませてからパソコンを立ち上げた。

あの掲示板を開いてみると通知が来ていて、カノからメッセージが届いているとの事だった。

内容は、これから少し難易度の高いダンジョンに行くから俺も来ないかというもので、断る理由も無かったのでOKした。

装備を整えて広場へ向かう。広場は他のユーザーと交流する為の場所だ。だから、店とかも結構あるしギルドなんかもある。
広場でカノを待っていると、見知らぬ誰かに話し掛けられた。

『はじめまして！酢桃といいます！突然ですけど、友達になりませんか？』

可愛らしいアバターの人が話し掛けてきた。

『こちらこそはじめまして。俺はキドだ。友達になってくれるのなら嬉しい』

ううむ。ちょっと無味乾燥なメッセージだっただろうか。
と思っていたら、不意に携帯が震えた。メールが来たようだ。

差出人はキサラギだった。

『差出人:如月桃
件名:もしかして！？
本文:あ、あの！！今私、先輩が朝話してたゲームやってるんですけど、さっき話しかけた「キド」って木戸先輩ですか？あ、私の名前は「酢桃」です！』

吃驚した。あの可愛いアバターはキサラギのだったのか。確かに酢桃のステータスを見るとほぼ初期値だ。ついさっき始めたばかりなのだろう。
すごい偶然だ。いきなり会えるなんて。

『差出人:木戸つぼみ
件名:Re:もしかして！？
本文:ああ、キサラギが思ってる通りだ。しかし驚いたな。いきなりキサラギに会えるとはな。ていうか「酢桃」ってなんだ？』

そう返信した。返事はパソコンのディスプレイに出てきた。

『ほら、「酢桃も桃も桃のうち」って言うじゃないですか！』

……おしい。何かが違う。
まあ教えてやろう。

『あのな、すももっていうのは「李」と書くんだ。酢に漬けた桃の事じゃなくてプラムの事だ。』

そう返してやるとキサラギは大層驚いたようだ。

『えぇ！！！！！酢漬の桃の事じゃないんですか！！！？？』

まあ、あのテストの回答よりは随分ましなものだ。よくある勘違いのような気もするし。

暫くはそうしてキサラギと談笑していた。

だから俺は、

カノとの約束をすっかり忘れてしまっていた。