青春10.鍵は大事だよね〜…うん。 ページ11
「これは何処まで強気でいられるか見物だな」
「止めろ」
中原先輩までからかい始めると、今度は織田先生が止めに入った。
その声に圧が含まれていたためか、太宰先輩は「冗談だよ」と笑ってみせた。
私には全く冗談には聞こえなかった。
話し込んでいる内に、予鈴(ヨレイ)が鳴った。
「早く戻ってくださいね」と忠告した後、先生組は先に出て行った。
続いて出ていく私達だが、私は太宰先輩に引き止められた。本日2度目←
「さっきは怖がらせたみたいで済まなかったね。
いざと言う時は助けてあげるから、何でも云うといい」
「はい。その時は頼らせて貰いますね。脅された分←」
「あ、うん…やっぱり怒るよね」
それを最後に別れ、午後の授業も無事に終了した。
「――――あれ?鍵が閉まってる…」
家に着き、扉を開けようとしたが、鍵が掛かってあり開かない。
鍵なんてまだ貰ってないので、如何しようと途方に暮れていると、誰かから声を掛けられた。
「Aちゃん?」
振り向くと、買い物袋を腕に下げた春野さんが立っていた。
「あぁ、やっぱりAちゃんだった!如何したの?」
「春野さんッ!!」
思わぬ救世主に出会ったため、私の心は喜びの舞を披露している←
―――玄関先で突っ立っていた理由を話すと、快く家に上げてくれた。
「お邪魔します」
「はーい、どうぞ!あまり緊張しなくていいのよ」
椅子に腰掛けると、緑茶を差し出された。
「あ、頂きます」
「ええ、どうぞ。それにしても、可笑しいわね…」
頬に手を添えて唸る春野さんに、何が可笑しいのか尋ねてみると…
「福沢さんと乱歩さんの事だから、抜かりは無い筈なのよね。だから、少し可笑しくて」
と、いう事だった。
その後、菓子も頂いて、手を洗いに行った。
ポケットからハンカチを取り出すと、何かが落ちた。
「え、これ…鍵!?」
それも、白い紙が巻かれた鍵だ。
紙には文字が書いてあり、誰かのアドレスのようだった。
鍵だけを春野さんに見せてみると、すごい嬉しそうに手を合わせた。
「まぁやっぱり!ふふ、ちゃんと渡していたのね」
「渡された覚えは無いんですけどね…」
先ず福沢さんは有り得ないとして、乱歩さんとも朝以降は会っていない。
しかも、私は午前中、何度もハンカチを取り出していたし…。
取り敢えず、鍵を使って家に入る。
考えるのは自室でやろう。
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作者名:入浴 | 作成日時:2018年3月12日 23時