男子達の憂鬱・・・

人は見かけによらない ページ1

ー彩ー

それは、放課後のことだった。

「立花さーん、うちらーこれから塾あるんだよねー」

「あっ、うん。学級日誌は書いておくね」

塾があるのは嘘だって分かってたけど、引き受けるしかなかった。

まぁ、私も、もともと日直だったからいいんだけど・・・。

秀明が始まるまでまだ時間あるし、大丈夫。

「うーん、今日の出来事・・・なにかあったかなぁ」

五分くらい書いてたんだけど、「今日の出来事」っていうのがまったく書けない。

「あれ？立花さん・・・どうしたの？」

翼か忍かなって思ったけど、翼と忍は立花さんなんていわないよね・・？

振り向くとそこにいたのは・・・、

「佐竹さん・・・？」

そう、私と同じクラスで今は隣の席の佐竹陽太君だった。

隣の席だから、少しは話すんだけど、そこまで親しくない。

でも、私が教科書を忘れたとき、嫌な顔一つせず、貸してくれたから、いい人なんだなぁーとはおもってたけど・・・。

あぁ、あとマリンがこの前お昼、一緒に食べるとき

「私が好きな人のトップ３は、やっぱ、美門、片山、佐竹だな・・・でも、あいつら三人ともモテるからなぁー」

って言ってたっけ。

佐竹さんも美少年だもんね。

女の子にモテるのもうなずけるよ。

・・・まぁ、私が知ってるのはこれくらいかな。

「えっと・・・・・・立花さん？」

私がずっと黙っていたからか、不思議そうに私の顔を覗きこむ。

そして、机の上にある学級日誌に目を向け、ハッとしたように固まる佐竹さん。

．．．どうしたんだろ？

「立花さん．．．もう一人の日直は？ほら、朝霧さん」

ああ、その事か。

「塾があるみたいで私一人で書いてるの」

「え？僕、さっき駅の方で朝霧さん、みたよ？あの方向に塾はなかったと思うけど」

多分、サボってるんだと思うよ。

そう言うと佐竹さんは分かりやすく顔をしかめた。

怒ってるようにも見える。

佐竹さんってクールな感じだと思ってたけど、顔に出やすいタイプなんだなぁ。

「立花さんはそれで良いの？怒ってないの？」

まぁ、うん。

「怒ってはないかな、少なくとも佐竹さんよりは、．．．ね」

佐竹さん、まさかの若武キャラだったとは．．．。

うーむ、人は見かけによらないって言葉、本当なんだなぁ。

秀明にダッシュ！→

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