第209話 パッと開かずグッと握って ページ10
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次の日、陽花戸中との練習試合のため、みんなはグラウンドに集まった。
「吹雪くん。あなたはFWに入って」
「はい」
監督からの指示に吹雪が返事をすると、みんなは吹雪に笑いかけた。
「イプシロンんときみたいに頼むで！」
リカの言葉に、吹雪はどこか元気がなさそうだ。
Aは吹雪の肩に手をおいた。
「吹雪、練習試合だし、気楽に行こう」
その言葉に吹雪は一瞬目を丸くし、薄く微笑んだ。
「……うん」
──────
ホイッスルが鳴り、雷門のキックオフとともに、試合が開始した。
ボールは吹雪が運び、前線へと上がっていく。しかし、すぐに陽花戸の戸田にボールを奪われた。みんなが、らしくない吹雪の行動に目を丸くした。
「何しとんのや、ストライカーさん！」
「どうしたのかしら…」
「いつもだと吹雪さん、力押しで攻め込むのに…」
ボールは陽花戸中がキープしたまま前線へと上がっていく。
「通さないッス！“ザ・ウォール”！！」
壁山がボールを奪い、鬼道へパスを繋いだ。
ボールは鬼道から風丸へと渡り、更にリカへとパスが繋がれた。
リカの目の前に、筑紫が立ちふさがった。
「ちょ、ええ男…！せやけどダーリンのほうがシュッとしてるわ。ほいな！」
リカが一之瀬にパスを繋いだ。
「“スパイラルショット”！！」
一之瀬のシュートが、キーパーの立向居に向かっていく。
「“ゴッドハンド”！」
これは立向居がしっかりとキャッチした。
「やはりスパイラルショットではゴッドハンドを打ち砕けないか…」
ボールは陽花戸中に渡り、雷門をかわして攻め込む。
「“レインボーループ”！」
松林のシュートが、円堂に向かっていく。円堂は構えた。
「“パッと開かず”──」
円堂が手を高く掲げた。円堂大介のノートに書いてあった、「正義の鉄拳」をやろうとしているのだ。
「“ぐっと握って”──“ダン”！“ギューン”！“ドカン”！！」
円堂が力強く拳を前に突き出したが、技は不発になった。弾かれたボールを、黒田が拾う。
「もらった！」
またも打ち込まれたシュートは、土門がうまくカバーししのいだ。
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第210話 これが雷門サッカー→←第208話 辛いの平気なんですよ
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作者名：無名 | 作成日時：2022年10月5日 10時
