第208話 辛いの平気なんですよ ページ9
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「わあ！美味そうっす！」
「いただきまーす！！」
それから夜になり、マネージャーのみんなが作ったカレーを、陽花戸中のメンバーと一緒に食卓について食べることになった。
「ほほう、これはなかなか美味しそうですね……」
そう言いながら目金がカレーをひとくち食べた。その瞬間、目金は顔を真っ赤にして悲鳴を上げながら、その辛さに暴れ始めた。
その近くにいた木暮が「うっしっしっ」と笑いながら手に持っていたタバスコを見せた。
「そ、それは……」
「お前なぁ……」
壁山と土門が呆れたような顔で木暮を見る中、木暮は今度は近くの立向居に目を向けてニヤニヤしていた。どうやら、立向居の皿にもタバスコを入れたらしい。
しかしなんの反応も無く、美味しそうにカレーを食べている立向居を見て疑問に思ったのか、立向居の皿から一口すくってカレーを口に入れた。すると途端に、木暮は悲鳴を上げて辛さにのたうち回った。
「美味しいですね！おかわりしてもいいですか！？」
「た、立向居お前…」
「か、辛くないんッスか？」
「ああ、俺辛いの平気なんですよ！」
立向居がそう言ってにっこり笑った。
「睦月、食べないのか？」
辛さで暴れている木暮と目金を見て苦笑いしていた風丸が、隣のAを見て声をかけた。Aはぼーっと皿を見つめているだけで、食べていない。
風丸の言葉で我に帰ったAは、慌てて風丸に笑いかけた。
「いや、食べるよ」
そう言ってAがカレーをすくい口に入れた瞬間、Aは顔を真っ赤にして、ゲホゲホと咳き込み始めた。
「か、辛ッ……」
「だ、大丈夫か！？」
「木暮の奴、睦月の皿にも入れたな」
土門が苦笑いした。風丸が近くから水を取ってAに渡すと、Aはそれを慌てて飲んだ。
「皿が出されたときからずっと座ってたから、入れたのも分かるはずなんだけど、気付かなかったみたいだ……」
「最近やけにぼーっとしてて上の空だな。気をつけろよ？」
「ああ……ごめん」
Aは肩を落とした。
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作者名：無名 | 作成日時：2022年10月5日 10時
