第206話 戦力にもならない ページ7
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それから陽花戸中と雷門でグラウンドに集まり、合同練習が始まった。
「よーし、睦月！打ってこい！！」
ゴール前で円堂が構えると、Aは頷き、手に持っていたボールを落として、高く蹴った。
「
Aのシュートが、円堂めがけて一直線に向かっていく。円堂は構えた。
「“マジン・ザ・ハンド”──！！くっ……おわっ！！」
円堂のマジン・ザ・ハンドが破られたが、ボールはゴールポストにガンっと当たった。Aはそれを見て、目を見開いた。
「……コースが外れた……」
「くぅーっ！！やっぱり睦月のシュートはすげー！！痺れるぜ！！」
「技の威力も上がってるな！ 大阪での特訓の成果が出たんじゃないか？」
「ダメだ」
円堂と風丸が笑ってAのシュートを褒め称えたが、Aは拳を握りしめ、首を横に振った。
「全然ダメだ……こんなんじゃ、戦力にもならない……円堂、もう一回だ」
「え？ お、おう！ いいぜ、来い！」
円堂がボールをAに投げ返して構えると、Aはまたシュート体制を取った。
「
「“マジン・ザ”──おっ？」
円堂が技を出そうとしたとき、シュートはぎゅるんとコースを外れ、近くにいたリカの方へ向かっていった。リカが頭を伏せてシュートを避けると、ボールは近くの木に当たって地面に落ちた。
「何すんねん、A〜〜！」
「ご、ごめん」
「ドンマイドンマイ！もう一回だ！」
円堂がボールを拾い上げ、Aに投げ返した。
その様子を見ていた春奈が、隣の秋に声をかけた。
「A先輩、なんだか焦ってますね……」
「ええ……」
秋も心配そうにAを見つめながら頷いた。
「
Aがまたシュートを打ったが、それも逸れてゴールポストに直撃した。円堂はボールを拾い、Aを見た。悔しそうに歯を食いしばりながら、ゴールを見つめている。
「大丈夫か、睦月？ 一旦休憩するか？」
「…………大丈夫だ」
Aは首を横に振った。
円堂はうなずき、またAにボールを返した。
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作者名：無名 | 作成日時：2022年10月5日 10時
