第244話 誰もいなかったわ ページ45
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「…………あれ……」
次に目を覚ましたとき、Aはキャラバンにいた。起き上がると、額に当ててあったらしい濡れたタオルがべちゃっと服に落ちた。
Aはそれを拾い、あたりを見回した。誰もいない。窓の外を見ると、もう昼間だった。
「Aちゃん、起きたのね！」
キャラバンに戻ってきたのは秋だった。
「秋……」
「昨日の夜中に、テントの前で倒れてたのを見つけたの」
秋が微笑んで言った。
「この前雨の中で練習したときに、体調を崩したんじゃないかしら…？」
「……ごめん」
Aは眉を下げてうつむいた。
「ううん、いいの。大事に至らなくてよかったわ。体調はどう？」
Aは頭を抑えた。
「うん…まだ少し頭が痛いけど、大丈夫だ」
「そう……今、浜辺でみんなでBBQしてるの。ほら、綱海くん、いたでしょ？彼、大海原っていう中学のサッカー部に入ったらしくて……」
秋から話を聞くと、Aが眠っている間に、雷門は大海原と試合をしたらしい。
そして今は、彼らと浜辺でBBQしているんだとか。
「……なあ、私のことを見つけたとき、近くには誰もいなかったか？」
「え？」
秋はきょとんとして、それから思い出したようにあっと声を出した。
「あ、そういえば足音が聞こえたかも……私、それで起きたのよ。でも、テントに出たときはもう誰もいなかったわ」
─────
「あっ、睦月！」
次の日の朝、大海原にある宿舎を借りて体を休めていたAは、早くに特訓していたみんなのもとへ向かった。
「もう体調は平気なのか？」
「ああ。ごめんな、迷惑かけて」
「いいっていいって！気にすんな！」
円堂はAの肩に手をおいてニッと笑った。
「今から、正義の鉄拳を出す特訓するところだったんだ。綱海にサーフィンを教えてもらってさ！」
「サーフィン？」
「ああ！」
円堂はグローブをはめると、ゴールの方へ向かっていった。その前に、鬼道と一之瀬が立っている。
「いくぞ、円堂！」
「こい！！」
鬼道と一之瀬が走り、シュートを打った。
「“ツインブースト”！！」
二人のシュートが円堂に迫っていく。円堂は高く足を振り上げて踏み出すと、拳を高く突き上げた。
「“正義の鉄拳”！！！！！」
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作者名：無名 | 作成日時：2022年10月5日 10時
