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ヨウ ページ44

「…これ、あげる」
眼前に差し出された袋に入ったメロンパンを彼女は
反射的に受け取ったが慌てて声を上げた。

「そんな、受け取れません!」

その言葉に小さくショックを受けるも笑って続ける。

「大丈夫、大丈夫。違うやつもうひとつ買ってるし」

それでも彼女は申し訳なさそうに視線を下げたままだ。

「それに、食べないと午後からの授業もたないよ?」

そう言えば彼女はようやく納得したかのように
パンの袋の縁をぎゅっと握った。

「あの、お金明日は必ず持ってきます」

「いや、いいよ。どうせ100円くらいだし」

じゃあねと立ち去るように背を向けて歩き出す。
平然を装ってはいるが正直もう限界だ。
Aと話しているとどうしてか胸がバクバクうるさく鳴ってしょうがない。
声が上ずりそうなのを必死に耐えて話すくらい
彼女といると乱される。

「あのっ…!待ってください!」

鈴の音のような声の余韻に浸っていたら
不意に後ろから声をかけられ服の裾を軽く掴まれた。

Aの小さな手がぼくの服を握っている事実。
それだけで全身の血液が沸騰しそうだ。

身長の差で必然的に上目遣いでAと目が合う。
ゆるく眦を下げてふにゃりと笑って

「ありがとう、ございます。大事に食べますね」

え、可愛い。

10数年間生きてきて培われたぼくの言葉の辞書からその瞬間その単語以外全て消え去った。

え、何この可愛い生き物?え?いや、超絶可愛い。


語彙力がぽやぽや溶けさって呆然としてるぼくにAははにかみながら小さく手を振って背を向けて自分の教室へ戻って行く。

段々と小さくなっていく背を見ながらようやく
自分が彼女に向ける気持ちに気づいた。


(これが…恋か…)

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設定タグ:ポケモン短編集 , ヤンデレ多め , 激甘   
作品ジャンル:恋愛
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みぞれ飴(プロフ) - まぼろし!さん» ありがとうございます!そう言っていただけでとても嬉しいです!! (2022年1月5日 20時) (レス) id: 13e620fa4f (このIDを非表示/違反報告)
まぼろし! - この小説、今まで見たので1番面白いです!特にコウキ君です! (2022年1月5日 20時) (レス) @page38 id: 4fec785233 (このIDを非表示/違反報告)
みぞれ飴(プロフ) - 出雲(元あやりん)さん» コメントありがとうございます。チャンピオンおめでとうございます! (2021年12月18日 10時) (レス) id: 13e620fa4f (このIDを非表示/違反報告)
出雲(元あやりん) - あぁ、ダイゴしゃん!好き。付き合ってくださぁぁぁぁぁぁい!!(((お前はチャンピオンだから無理だろ!ダイゴしゃんに勝ったからな。←姉弟で、チャンピオンになりましたw (2021年11月16日 20時) (レス) id: afcb507146 (このIDを非表示/違反報告)
みぞれ飴(プロフ) - k.kさん» ありです! (2020年11月1日 18時) (レス) id: d3c8e877af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みぞれ飴 | 作成日時:2019年10月11日 22時

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