朝倉風斗の婚約者ですが？

vol.39 それでも、ありかとう ページ40

｢Aさんが電話をくれるなんて初めてじゃない？｣
『突然すみません。その…本、見せてもらいました。』


｢あぁ。本業のノワールより売れているらしいな。｣



楽しそうに笑う声。
局内の休憩室に入り電話をしているのだけど、
誰か来たら出なきゃいけないな。



『もしかしたら風斗への風当たりも変わるかもしれないです。
ありがとうございました。』



｢何をいっているんだ？
テレビやネットでも、俺の本は風斗とAさんの事だって言われているけど、俺はそんなつもりで書いたわけではない。｣



いや、でも･･･
手にある本の最初の方のページ。

声優デビューした女の子とゲストの人気アイドル。

女の子と双子声優。

スキャンダルと声優引退･･･



明らかに私の事だと思うけど。


この人も風斗の兄…性格も近いものがあるかもしれない。



『それでも、ありがとうございます。』


｢ふふ。風斗と仲良くね。｣




その後、本はベストセラーになり大学でも励ましてくれたり、応援されることが増えていた。



風斗も｢忍耐強い｣や｢本当の愛｣なんて賞賛されて仕事は増えているらしい。

お陰でなかなか会えないけどね。



そうこうしているうちに春が訪れていた。

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