青き月光の下で2［妖怪ウォッチシャドウサイド］

64話 ページ23

めんどくさいと言いながらもアズサさんは、私達に顔さけ女のことについて教えてくれた。

アズサさんが顔さけ女に会ったのは仕事の帰り道。
噂通りに顔さけ女は「私、キレイ？」と言いながら
髪をかきあげたらしい。


慌てて逃げたものの、顔さけ女はそれっきり追いかけて来なくなったというのだ。



アキノリ「どんな顔か見ました？」


アズサ「どんなって…なんか赤くて」


アキノリ「赤くて？」


アズサ「グワーってなってて！」


怜奈「ぐ、ぐわ〜？」


ナツメ「全然分かんないんですけど…」



アズサ「でも、何かに似てたような気がするんだけど」


アズサさんの一言で、みんなはアズサさんに視線を向ける。


怜奈「何かって、なんなんですか？」


アズサ「分かんない」


期待させておいて、あっさりと裏切られた感が半端なく私達はズゴーッと転げる。



話は一通り終わったのか、アズサさんは立ち上がり
ジョウロに水を入れ始めた。


この状況は、もう帰ってと言っているのか、
はたまた、めんどくさくなったのか。

私達はその光景をしばらく見つめていた。


アズサ「ちょっとキレイに咲いてるからっていい気になってるけどボヤボヤしてると売れ残るわよ」


店に並ばれている花達に向かって、アズサさんは
花の視点からしてみればグサっとくるような発言を口にする。



怜奈「…意外と辛口…なんだね。アズサさんって」


ナツメ「う、うん。…そろそろ帰ろっか」


アキノリ「そうだな。仕事の邪魔しちゃ悪いし」


トウマ「…だね」


苦笑いしながら、私達は店を後にした。




＊



事務所に着くと、私達はパソコンに食いつくように
ジッと怪奇案件を調べる。



アキノリ「間違いない。顔さけ女の正体は妖怪だ」


ケースケ「なんとかしようよ！」


妖怪だと正体が明らかになった瞬間、ケースケは怯えながらナツメに話しかける。やはり怖がりな性格は治せないらしい。



トウマ「顔さけ女か…」


ウィスパー「どんな妖怪なんですかね？」


怜奈「…どんな妖怪かっていうよりも、妖気が確認できない限りどうにもならないよ。まずは実際に会ってみないと」


ピピッピピッ


その瞬間、妖魔レーダーが反応する。



怜奈「この場所って…！」


妖気を探知した場所。


そこは、



アズサさんが顔さけ女に会った場所だった。

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