君のいない世界 (ページ12)

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海辺の丘にある大野さんの石碑は

俺達4人のチョイスで、この場所に建てられた。

海が大好きな大野さんに

何時でも海が見れるようにしてあげよう、って

そんな思いを込めてここに建てた。

「大野さん…来たよ」

Aは、俺が大野さんに話しかけるのを

少し離れた所から見守る。

「今日はいい天気ですよ。

ほら、水平線が良く見える」

『本当だね。いい天気…』

「今日はね、青い薔薇を買ってきたんです。

"夢叶う" "神の祝福"っていう意味らしいですよ？

貴方によく合う…」

────貴方の夢は、叶いましたか？

『俺は、皆と過ごせて幸せでした』

「俺も…幸せでした。ありがとう、リーダー」

『また会えるかな』

「いつか必ず、会いに行きます

まだ少し、未来の話ですけど」

『早く来たら、許さないからね』

「まだそちらには行けませんから…

愛する人も出来て、家庭を持って

俺の人生は、これから…ですから」

大野さんの声が聞こえる気がして

そんな会話をいつもする。

Aを手招きして呼ぶと

ひょこひょこと歩いてきて、隣にしゃがむ。

「こんにちは、大野さん。

和の事は…任せてください」

そんな事をAが言い出すから

思わず吹き出しそうになった。

「ちょっと、A(笑)

急に何言い出すのさ」

「和は私が守りますって、言いたくて」

屈託の無い笑顔で笑う貴方の顔は

どことなく、大野さんに似ていた。