441話 ゼロの執行人 ページ42
『コナンくんは?』
「蘭さんたちのところに行ったよ。彼に怪我はない」
『そう。よかった…』
「…落ちていくお前を見たとき、一瞬頭が真っ白になった。手を伸ばせば届いたかもしれないのに、それが出来なかった…」
『俺、別に怒ってないよ。こうして生きてまた触れられるだけで嬉しいんだから』
「……最後までそばにいてくれて、ありがとな」
優しい笑みにつられて、俺も笑った。
『…これで最後でいいの?』
「え?」
『…俺は、これから先も、最期のときまで一緒にいたいって思ってるんだけど』
そう言うと零さんは驚いたように俺を見た。
「…ああ。そうだな。約束は、できないが。…出来る限りそばにいてくれ」
『…うん』
2人で笑いあう。
ようやく、終わった…。
「降谷さん!黒瀬さん!」
駆けつけてきた風見さんに気づき、振り返った。
「風見、よくやった」
零さんに褒められ、風見さんは少し頬を赤くした。
「とんでもないです…。それより、怪我を…。送っていきます」
「ああ。Aも頼めるか?怪我をしている」
「はい。もちろんです」
風見さんの後をついて、車の後部座席に乗り込んだ。
「今日は後処理で、缶詰状態になるだろうな」
『…うん。わかってる。待ってるよ、あの家で』
先に零さんの手当てをしながら、これから忙しくなるであろう彼の無事を祈る。
「それで、あの…明日よければ…弁当を作ってきてくれないか?朝からポアロなんだ」
零さんの口から弁当のワードが出た瞬間、運転していた風見さんの肩がビクついた。
『わかった!明日、お昼にポアロに持っていく』
そんなに俺の弁当を食べたかったのか、と嬉しくなる。
零さんの手当てが終わり、今度は零さんが俺の手当て。
といっても頬に切り傷がある程度だからたいしたことはない。
そうこうしている間に、家についたようだ。
零さんはこのまま風見さんと登庁だろう。
「今日はゆっくり休め。僕は明日、そのままポアロに向かう」
『無理しないでね。…行ってらっしゃい』
車を降りて、零さんに手を振る。
『風見さんもありがとうございました』
「いえ…。お大事に」
夜空の下、零さんの乗る車を見送る。
ホッと息を吐いて一段落。
最悪の事態は免れた。
これで劇場版は終わりだろう。
しばらくは平和な時間を過ごせることを祈りながら、俺は家の中に入ったのだった。
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096 - いおりさん» コメントありがとうございます!人生の楽しみだなんて、嬉しい限りです!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります!! (2019年8月10日 19時) (レス) id: 674cb05958 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - 黒瀬くんと降谷さんの日常を見てニヤニヤしてます。この物語は今や、私の人生の楽しみになっています。こんな物語を書ける096さんはすごいですね。これからもお体にお気をつけて、更新頑張ってください。 (2019年8月9日 23時) (レス) id: 50154c1ba9 (このIDを非表示/違反報告)
096 - basuke07さん» コメントとリクエストありがとうございます!ずっと読んでいただけて嬉しいです!それも面白そうですね…!ぜひ機会がありましたら構想を練って書いてみたいと思います! (2019年8月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
basuke07(プロフ) - 一番最初から今までずっと読んでますとても面白いですリクエストみたいなものなんですが夢主さんがまた警察の公安になる番外編的なものを作って欲しいです (2019年8月6日 19時) (レス) id: 7f07f3e8a0 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 裕さん» コメントありがとうございます!長いのに、ここまで読んでくれたのですね…!お疲れ様です!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月20日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年7月13日 14時