442話 ゼロの執行人 ページ43
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翌日、ポアロに向かう前にニュースで見た、日下部の逮捕時の映像。
“犯罪の手引書のような捜査資料に感化された”という日下部の動機。
完全に公安が消えた。
零さんが裏で手引きしたんだろう。
これが、公安警察の判断だ。
そして、東京湾に着水したはくちょうのカプセルからは、火星由来の物質が含まれており、今後の研究への大きな一歩になる、と報道されていた。
こうして、日本を影から守る彼と、小さな子供たちの手によって、この国は守られたのだった。
カランカラン、とドアベルの音が響く。
『こんにちは』
「あ、黒瀬さん、こんにちは」
弁当を携えて、ポアロの扉を開く。
出迎えてくれたのは、梓さんだけだった。
『安室さんいますか?』
「今ちょうど、毛利さんのところにお昼の差し入れに行ったの。すぐ戻ってくると思うわよ」
毛利さんにお昼の差し入れ…。
彼なりのお詫びのつもりだろう。
「座って待っててください」
『はい。あと、ミルクティーください』
カウンターのいつもの場所に座って注文する。
「かしこまりました。…黒瀬さん、買い物帰りですか?」
『え?あぁ、いえ、これお弁当なんです』
梓さんの視線が俺が持っている小さな紙袋に向いていることに気づく。
「お弁当?」
『はい。安室さんに頼まれて』
「安室さんに…。へぇ?」
途端、ニヤニヤしだす梓さん。
「ほんと、仲良いですねぇ」
『あはは、そんなんじゃないですよ。俺が最近料理を始めたので、安室さんが味見してくれてるんです』
今回の弁当もきっとそうなんだろう。
まだ未熟な俺の料理の腕を試しているに違いない。
「戻りました。あ、Aさん、来ていたんですね」
『お弁当、持ってきましたよ』
「ありがとうございます」
いつも通りの安室透の笑顔だ。
怪我はもう大丈夫なのだろうか。
「安室さん、休憩入ってもいいですよ。今はお客さんいませんし」
「え、でも…」
「黒瀬さん作りたてのお弁当、早く食べたほうがいいでしょう?店内持込は禁止ですけど、特別ですよ?」
俺にミルクティーを差し出しながら、梓さんは気を利かせてくれる。
「それじゃあ…」
安室さんはエプロンを外して、俺の隣に座った。
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096 - いおりさん» コメントありがとうございます!人生の楽しみだなんて、嬉しい限りです!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります!! (2019年8月10日 19時) (レス) id: 674cb05958 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - 黒瀬くんと降谷さんの日常を見てニヤニヤしてます。この物語は今や、私の人生の楽しみになっています。こんな物語を書ける096さんはすごいですね。これからもお体にお気をつけて、更新頑張ってください。 (2019年8月9日 23時) (レス) id: 50154c1ba9 (このIDを非表示/違反報告)
096 - basuke07さん» コメントとリクエストありがとうございます!ずっと読んでいただけて嬉しいです!それも面白そうですね…!ぜひ機会がありましたら構想を練って書いてみたいと思います! (2019年8月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
basuke07(プロフ) - 一番最初から今までずっと読んでますとても面白いですリクエストみたいなものなんですが夢主さんがまた警察の公安になる番外編的なものを作って欲しいです (2019年8月6日 19時) (レス) id: 7f07f3e8a0 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 裕さん» コメントありがとうございます!長いのに、ここまで読んでくれたのですね…!お疲れ様です!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月20日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年7月13日 14時