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440話 ゼロの執行人 ページ41

『…すごいな、零さんは』


率直な、心からの感想だった。


俺にあそこまで出来るかといわれたら、否だ。

同じ立場だとしても、能力には大きな差がある。


ここがフィクションの世界だから、当たり前といわれればそうなんだけど…。



大きな事件に巻き込まれ、零さんやコナンが活躍するたびに、自分の無力さを痛感する。


こんな思い、今に始まったことじゃないんだけど…。



前の世界で、他より少し優秀で、上の立場に立っていたから…今何も出来ない自分に苛立つんだろうな…。

たぶんこの感情は、この世界にいる限りずっとついて回るんだろう。



マイナス思考を振り払い、体を起こす。



『っ…』


枝が引っかかったのか、頬が裂けて血が流れていた。
服も所々破れてしまっている。


零さんの車はダメになったし、どうやって帰ろうか。
とりあえず零さんと合流したいところだ。


まず生きていることを知らせたいし。


コナンを零さんに託して、俺は死んだと思ってるかもしれない。



あの時零さんは俺に手を伸ばさず、確実に助けられるコナンを選んだ。

別にそれを恨んでいるわけじゃないし、悲しくもない。


俺たちは人類全員を救えるヒーローじゃない。

民間人を守る警視庁と違い、国を守るのが警察庁だ。



零さんがしたのは正しい選択。


所詮俺はこの世界の人間じゃない。

救うべきは膨大な頭脳を持った、あの小さな探偵だ。






「A…っ!」


必死に俺の名前を呼ぶ声が聞こえて立ち上がった。


零さんは俺の姿を見つけると、すぐに駆け寄ってきた。



『零さん、無事でよか――…』


言葉を遮り、零さんは俺を抱きしめた。




「無事でよかった…。すまない、助けられなくて」

『…いいんだよ。貴方を信用して、コナンくんを託したのは俺の判断だ』

「…あのとき、助かる勝算があったから笑ったのか?それとも、諦めたのか?」


コナンを零さんに託した後、俺は彼に向けて笑みを見せた。




『…どうだったかな。覚えてないや。……零さん、怪我してる』


やはりビルに突っ込んだとき、ガラスで切ったんだろう。

左腕から出血していた。



「…お前も、血が出てる」



頬に流れる血を指で拭われた。



441話 ゼロの執行人→←439話 ゼロの執行人



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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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096 - いおりさん» コメントありがとうございます!人生の楽しみだなんて、嬉しい限りです!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります!! (2019年8月10日 19時) (レス) id: 674cb05958 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - 黒瀬くんと降谷さんの日常を見てニヤニヤしてます。この物語は今や、私の人生の楽しみになっています。こんな物語を書ける096さんはすごいですね。これからもお体にお気をつけて、更新頑張ってください。 (2019年8月9日 23時) (レス) id: 50154c1ba9 (このIDを非表示/違反報告)
096 - basuke07さん» コメントとリクエストありがとうございます!ずっと読んでいただけて嬉しいです!それも面白そうですね…!ぜひ機会がありましたら構想を練って書いてみたいと思います! (2019年8月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
basuke07(プロフ) - 一番最初から今までずっと読んでますとても面白いですリクエストみたいなものなんですが夢主さんがまた警察の公安になる番外編的なものを作って欲しいです (2019年8月6日 19時) (レス) id: 7f07f3e8a0 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 裕さん» コメントありがとうございます!長いのに、ここまで読んでくれたのですね…!お疲れ様です!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月20日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:096 | 作成日時:2019年7月13日 14時

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