67話 漆黒の特急 ページ18
これ以上は危険かと思いつつも、やめなかったのはきっと、俺が自分を信じているから。
自分で立てた、彼の仮説を。
彼は、黒じゃない。
かといって白でもない。
俺と同じだ。
俺も似たようなことをしてきた。
必要なら、多少の犠牲も生んできた。
その苦しみを知っている。
だから、彼を守りたい。
そのためには、彼がどんな人間か、知る必要がある。
例え彼に、この銃口を向けようとも。
胸元に隠していた拳銃にそっと触れる。
バーボンは灰原を貨物車に乗せたようだ。
「ご心配なく。僕は君を生きたまま組織へ連れ戻すつもりですから。この爆弾で連結部分を破壊して、その貨物車だけを切り離し、止まり次第、僕の仲間が君を回収するという段取りです」
バーボン自体が、手を下すことはないようだ。
「その間、君には少々気絶をしてもらいますがね。まぁ、大丈夫。扉から離れた位置に寝てもらいますので爆発に巻き込まれる心配は――」
「大丈夫じゃないみたいよ」
「え？」
「貨物車の中、爆弾だらけみたいだし」
「！」
これは、バーボンも予期していなかったらしい。
僅かに動揺が伝わる。
やっぱり、彼は優しい人だ。
「どうやら、段取りに手違いがあったようね」
「…仕方ない。僕と一緒に来てもらいますか」
「悪いけど、断るわ」
ガラッと、扉が閉まる音が聞こえた。
『！』
その音と同時に背後に気配を感じ、拳銃を構えて振り返った。
さっきのベルモットの変装と同じ格好をしているが、間違いなくこの気配は…。
『…赤井さ…』
しっ…と唇に人差し指を当てられた。
ジェスチャーで退くように指示される。
恐る恐る彼の後ろに引き下がった。
すると彼は貨物車に繋がる扉を半分開ける。
それに気付き、バーボンは銃を向けた。
「…ベルモットか？悪いが彼女は僕が連れて――」
言葉の途中で赤井さんが貨物車に投げ込んだのは、手榴弾。
「っ、手榴弾!?誰だ…！誰だお前っ！」
珍しく、彼の焦った声が聞こえてきた。
照明も落ち、煙が充満して、赤井さんの顔は見えていないのだろう。
赤井さんは扉を閉めた。
すぐに、扉の向こうから爆発音が聞こえてきた。
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鹿野ユズナ(プロフ) - いえ、お力になれたようでよかったです！ (2019年4月25日 11時) (
レス) id: f48090b258 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 鹿野ユズナさん» コメントありがとうございます！恥ずかしながら、ずっと勘違いしておりました…。次回から気をつけます！ご指摘本当にありがとうございました！ (2019年4月21日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
鹿野ユズナ(プロフ) - こめかみ、漢字変換が全てお米の神様になってます………… (2019年4月21日 5時) (レス) id: f48090b258 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 大福さん» コメントと嬉しいお言葉ありがとうございます！これからも読みやすく楽しい小説を目指して頑張るので、よろしくお願いします！ (2019年3月13日 20時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
大福 - 楽しく、読みやすいです。続きが気になります！次の更新楽しみに待ってます。 (2019年3月12日 16時) (レス) id: 2b112b86de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：096 | 作成日時：2019年2月11日 21時
